後悔と教訓、未来へのメッセージ
編集部
膀胱がんという経験を振り返って、後悔していることはありますか?
中野さん
がん保険に入っていなかったことです。罹患後はしばらく保険に入れないので、入っておけば良かったと心から思いました。手術自体は高額ではありませんでしたが、万が一再発があった際にセーフティーネットがないという事実は、大きな不安としてのしかかっています。あとは闘病中、金額の負担以上に見えざるコストの負担が大きいように思います。
編集部
“見えざるコスト”について、具体的に教えていただけますか?
中野さん
「時間」と「心」ですね。経過観察のため、今も3カ月置きに検査をしていますが、そのために2回通院が必要です。1回目は尿の提出だけですぐ終わるものの、翌週の検査と結果報告の日は、待ち時間も含めて半日かかります。経営者として、この時間のロスは決して小さくありません。時間以上に重たいのが精神的な負担です。慣れたつもりでも、検査結果を聞くまでは「再発していないか」と、毎回心臓がドキドキします。数カ月置きに必ず訪れる不安と緊張。これもまた、目には見えない“大きなロス”なのかもしれません。
編集部
現在の体調はいかがですか?
中野さん
おかげさまで体調は万全です。ただ、治療が終わったわけではありません。先ほど話した通り、今は3カ月に一度、膀胱鏡の検査を続けています。この先、検査の間隔は6カ月に一度、1年に一度と延びていくようですが、完全に検査が終了するまでには5~10年はかかるといわれています。がんとの付き合いは、長い目で見ていく必要があると実感しています。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
中野さん
がんというものは、最初は小さくても徐々に大きくなるのだと改めて理解しました。だからこそ、がんは恐れる病気ではありません。大きくなる前であれば、治療の選択肢も広がります。また、予防と早期発見を心掛ければ、過度に恐れる必要はない病気だとも感じています。健康で長生きするために、皆さんも予防と早期発見をぜひ心掛けてほしいですね。
編集後記
「定期的な健康診断」がいかに重要であるか、中野さんの体験から分かると思います。もし彼が、一度きりの血尿を「気のせいだ」と無視し、「再検査が面倒だ」と病院から足を遠ざけていたら――。その結末は、おそらく全く違うものになっていたでしょう。自身の健康を過信せず、体の小さなサインに耳を傾けてみてください。
本稿には特定の医薬品、医療機器についての記述がありますが、情報提供のみを目的としたものであり、医療上の助言や販売促進などを目的とするものではありません。
なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。
記事監修医師:
石川 智啓
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

