まぶたが重くて目が開きづらい……。「眼瞼下垂(がんけんかすい)」になると、無意識に額の筋肉でまぶたを持ち上げ続けることにより、おでこに深い横じわが刻まれるケースがあります。しかし、手術でまぶたの開きを改善すると、しわまで目立ちにくくなることも。その仕組みについて、酒井形成外科の酒井先生に詳しく教えてもらいました。
※2025年12月取材。

監修医師:
酒井 倫明(酒井形成外科)
1985年昭和大学(現・昭和医科大学、以下同)医学部卒業、昭和大学大学院入学、恵寿総合病院外科。1987年昭和大学病院(現・昭和医科大学病院、以下同)麻酔科、1988年自治医科大学附属病院整形外科、1989年昭和大学病院形成外科、東京逓信病院皮膚科・形成外科、前橋赤十字病院形成外科、1990年昭和大学藤が丘病院(現・昭和医科大学藤が丘病院)形成外科、1991年昭和大学病院形成外科、東大和病院形成外科部長、1995年酒井形成外科開業。日本形成外科学会専門医、日本形成外科学会領域指導医、美容外科分野指導医、医学博士、昭和大学非常勤講師、千葉大学非常勤講師。
眼瞼下垂の手術で、おでこのしわが改善できる?
編集部
眼瞼下垂の手術をすると、本当におでこのしわが減るのですか?
酒井先生
はい。眼瞼下垂になると、まぶたが十分に開かないため、無意識に額の筋肉(前頭筋)を使って目を開こうとします。その結果、おでこに深い横じわが刻まれることが多いのです。手術でまぶたの開きが改善すると、前頭筋に力を入れる必要がなくなり、しわが目立ちにくくなることがあります。
編集部
手術を受けた全ての人が、しわの軽減を実感するのでしょうか?
酒井先生
多くの人に変化が見られますが、しわが深く刻まれている場合や皮膚の弾力が低下している場合は、改善が限定的なこともあります。特に、年配の人は傷跡のような深いしわが多いため、どれくらいの治療効果が期待できるかは、医師に聞いてみてください。
編集部
しわ改善が目的でも、手術を受けてよいのでしょうか?
酒井先生
瞳孔の距離を測るなど、いくつかの検査が必要になります。その結果、眼瞼下垂であると診断されれば保険が適用になります。
編集部
しわ改善のほかに美容効果はありますか?
酒井先生
目元が開きやすくなることで若返ったように見えたり、疲れ顔や眠そうな表情が改善したりする人もいます。そのほか、肩凝りや首凝りの減少も期待できます。
眼瞼下垂の手術とは?
編集部
眼瞼下垂の手術は、どのようにおこなうのですか?
酒井先生
いろいろな術式があり、原因に応じて選択します。例えば、加齢などの理由によってまぶたの皮膚がたるみ、眼瞼下垂になっている場合には、皮膚を切り取ることで症状を解消します。上まぶたを持ち上げる筋肉が伸び切ってしまった場合には、「挙筋前転術」といって、伸び切ってしまった筋肉を縫い縮めることもあります。
編集部
手術は痛いのでしょうか?
酒井先生
局所麻酔でおこなうため、施術中の痛みは最小限です。術後は腫れや軽い痛みがあるものの、通常は数日〜1週間程度で落ち着きます。
編集部
手術の所要時間を教えてください。
酒井先生
術式にもよりますが、両目で1〜2時間が目安です。日帰りで受けられ、術後すぐに帰宅できます。
編集部
一度手術をしたら再発することはありませんか?
酒井先生
場合によっては再発することもあります。特に、手術で固定した挙筋腱膜(きょきんけんまく)が、加齢の影響で再びたるむことにより再発するケースもあります。ただし、一度の治療でしっかりと眼瞼下垂を治すことができれば、複数回手術が必要になる人はほとんどいません。不安な人は、ぜひ経験豊富で信頼できる医師に相談してください。
編集部
「おでこのしわの改善」というと、ボトックス治療が思い浮びますが、眼瞼下垂の手術も必要ですか?
酒井先生
しわの原因が眼瞼下垂の場合には、眼瞼下垂の手術とボトックス治療を併用することがあります。おでこにボトックスを注射して、筋肉の動きを抑えてから眼瞼下垂の手術をするのか、あるいは逆に、眼瞼下垂の手術をしてからボトックス注射をするのかは、一人ひとりの状態によって異なります。気になる人は、医師に聞いてみてください。

