くも膜下出血を発症すると目に症状が現れる原因
くも膜下出血が目の機能に影響を与える経路は、主に「動脈瘤による直接圧迫」と「頭蓋内圧の急激な亢進」の二つです。
動脈瘤による脳神経の直接圧迫
脳の血管の根元、特に内頚動脈後交通動脈分岐部と呼ばれる場所にできる動脈瘤は、そのすぐ隣を走っている動眼神経(第III脳神経)を直接押さえつけてしまいます。
動眼神経は、まぶたを持ち上げる筋肉や、瞳孔(ひとみ)の大きさを調整する神経の線維を含んでいます。
動脈瘤による圧迫は、特に瞳孔を小さくする(収縮させる)神経線維に影響が出やすいため、瞳孔が散大し(大きくなり)、光を当てても縮まらないという重要なサインを引き起こします。同時に、まぶたが垂れ下がる眼瞼下垂(がんけんかすい)も発生します。
この動眼神経の麻痺(まひ)は、動脈瘤が破裂寸前であることを強く示す、最も緊急性の高い「赤信号」となります。
頭蓋内圧の急激な亢進
くも膜下出血が起こると、流れ出た血液が脳全体を覆うスペース(くも膜下腔)に広がり、脳全体を強く圧迫します。これにより、頭の骨の内部の圧力(頭蓋内圧、または脳圧)が急激に高くなります。
この非常に高い頭蓋内圧は、目の奥の血管を破り、出血させることがあります(Terson症候群)。また、眼球を外側に向ける動きを司る外転神経(第VI脳神経)を引っ張ったり圧迫したりしやすいため、眼球を外側に動かせなくなり、ものが二重に見える(複視)原因となります。
「くも膜下出血と目」についてよくある質問
ここまでくも膜下出血と目について紹介しました。ここでは「くも膜下出血と目」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
脳に異常があると目にどんな症状が現れることが多いですか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
脳の異常はしばしば目に様々な症状となって現れます。代表的なものは、目の動きや瞼(まぶた)に関する異常です。脳から眼球運動を支配する神経に問題が生じると、物が二重に見える(複視)ようになったり、まぶたが十分に持ち上がらなくなる(眼瞼下垂)ことがあります。実際、脳動脈瘤など脳内の異常が原因で、片目の眼瞼下垂や複視が起こるケースがあります。また、脳の視神経や視覚をつかさどる領域が圧迫・損傷されると、視野の一部が欠ける(見える範囲に黒い部分が生じる)、視力が急に低下するといった症状も現れます。さらに、脳圧の上昇や脳の膜(髄膜)への刺激によって、光を見ると眩暈や痛みを感じる(光過敏)症状が出ることも多いです。このように脳のトラブルは目の異常となって表面化することが多いため、目の症状から脳の病気が見つかるケースも少なくありません。

