
東洋電装グループのTD Holdingsは、機械や設備を動かすための電気部品を組み込んだ制御盤の製造や通信ネットワークの構築などを手掛けている。「DX工場」と銘打たれた東洋電装の可部事業所には、最先端のデジタル技術が導入されている。この可部事業所の見学に、2022年2月の開設から約4年で、全国の製造業を中心とする来訪企業が累計500社を超えた。製造業の現場DXを支える学びの場として拡大している。
同じ悩みを抱えた企業が見学に

見学に訪れる企業の多くは、同じ悩みを抱えている。生産計画がベテラン頼み。現場負荷が偏り、残業が常態化。データはあるが、活かしきれていない。人手不足で改善が進まない。それらは、決して特別な課題ではなく、むしろ、日本の製造業に広く共通する現実で、東洋電装の可部事業所も、例外ではなかった。だからこそ、可部事業所は、成功事例だけでなく、迷い、試行錯誤しながら進めたDXの過程そのものを公開する道を選んだとのことだ。
取り組んできたのは、足元の業務改革である。Office DXによる情報連携の強化。現場データの収集基盤づくり。改善サイクルを回す仕組みの構築。属人化していた情報を可視化し、「感覚」だった判断を「共有できる事実」に変えてきた。
開発中の取り組みや構想も含めて紹介

また、可部事業所のDXは、完成形ではなく、いまも進化の途中にある。
現在取り組んでいるのが、制御盤工場のための“生産プラットフォーム”の開発と高度化だ。情報を一つのプラットフォームに集約すること。AIアシスタントによる迅速な情報検索。AIによる生産計画、ロケーションの最適化とナレッジ化を実現し、生産効率の向上と売上・利益の改善につなげる。
制御盤製造は、多品種少量・オーダーメイド生産が中心で、標準化が難しく、熟練者の判断に依存しやすい領域だ。だからこそ可部事業所は、その特性に適した仕組みづくりに挑んでいる。
見学では、こうした開発中の取り組みや構想も含めて紹介している。完成品を見せるのではなく、進化の過程そのものを共有する。それが、このDX工場見学の特徴だ。
