わたしがときめいた6作品
展示されている80作品のうち、わたしが特に心を動かされた作品をご紹介します。
ヴァシリー・カンディンスキー《自らが輝く》
ヴァシリー・カンディンスキー《自らが輝く》1924年/石橋財団アーティゾン美術館
今回の展覧会のアイコン的存在です。幾何学的な図形とカラフルな色彩は、まるで踊っているようで、観ているだけで心が浮き立ちます。日々の活力をもらえるような、生命力にあふれた作品でした。
ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》
ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》1904-1906年頃/石橋財団アーティゾン美術館
以前、この絵に関する記事を執筆したことがあり、ずっと憧れていた1枚です。晩年のポール・セザンヌにとって創作の原点ともいえるサント=ヴィクトワール山。目の前にした瞬間、「セザンヌの愛した風景が今ここにあるんだ」と大興奮しました!画家と自分の人生が、絵画を通じて交差したような不思議な感覚。まさに「歴史を目の前にしている」という感動を味わえました。
マリー・ブラックモン《セーヴルのテラスにて》
マリー・ブラックモン《セーヴルのテラスにて》1880年/石橋財団アーティゾン美術館/左/筆者撮影
作品の前で足を止めると、心地よい太陽の光が、絵の向こう側から差し込んでいるようで、思わずうっとり。描かれている人物たちはどこかぼんやりしていて、「日差しがあたたかくて眠たいのかな?」「考えごとをしているのかもしれない」なんて考えます。
ドレスのピンク色が愛らしくて印象に残っており、展覧会の直後はピンク色のものばかりが気になってしまいました。
パウル・クレー《負け試合》
パウル・クレー《負け試合》1928年/石橋財団アーティゾン美術館/右/筆者撮影
よく見るとキャンバスの糸のほつれが分かる、不思議な質感の作品です。一度完成したものを解体して新しい作品にするというパウル・クレーの手法に、「もったいなくてわたしにはできない!」なんて驚きつつ、彼の飽くなき好奇心に刺激を受けました。
藤島武二《黒扇》
藤島武二《黒扇》1908〜1909年/重要文化財/石橋財団アーティゾン美術館
重要文化財をこんなに間近で観られるなんて!この作品は、藤島武二が最期まで大切にしていた個人コレクションで、亡くなる直前、久留米市美術館の前身である石橋美術館の建設・寄贈者の石橋正二郎氏へ託されたそうです。
人間同士の深い信頼があったからこそ、今わたしはこの絵に出会えた。美術館に名作があるのは当たり前ではなく、奇跡の連続なんだと、背筋が伸びる思いでした。
白髪一雄《昏杜》
白髪一雄《昏杜》1990年/石橋財団アーティゾン美術館/左/筆者撮影
下から見上げると、絵の具が驚くほど分厚く盛り上がっています。「どうやって塗ったの?」と不思議でしたが、なんと足で描く「フットペインティング」という技法なのだとか。黒い絵の具の躍動感が、気持ちをシャキッと引き締めてくれました。
ミュージアムショップやカフェで余韻に浸るのも楽しい
展示を堪能した後は、お楽しみのミュージアムショップへ向かいました。展示室で気に入った作品がポストカードやマグネットになっていると、うれしくてついつい買いすぎてしまいます......!
わたしのお気に入りの楽しみ方は、ポストカードを部屋の壁に飾り、自分だけの「ミニ展示室」にすること。自分へのお土産として、あるいは大切な人へのお裾分けとしてグッズを選ぶ時間は、展覧会の楽しさを持ち帰るようなひとときですよ。
そして、鑑賞後の締めくくりにぜひ立ち寄ってほしいのが、カフェ&ギャラリーショップ「楽水亭」です。ここでは美しい日本庭園を眺めながら、ゆったりと食事やお茶を楽しめます。ちなみに「楽水亭」は石橋正二郎氏の言葉「楽山愛水」にちなんだ名前で、美しい自然を愛していたことが伝わってきます。
楽水亭から見える日本庭園/筆者撮影
2月某日に訪れたわたしは、季節のケーキとシーズナブルティーをいただきました。サクサクのクッキー土台にホワイトチョコのムースがのせられ、甘酸っぱい梅ジャムが包まれた逸品でした!季節のケーキを楽しみに再訪すること間違いなしです。
お茶を飲みながら、「あの作品やっぱり素敵だったな」「この画家についてもっと知りたい」と、展覧会の目録を見直したり調べ物をしたり……。日常の喧騒を忘れて、自分の感性と向き合う一人時間は、何物にも代えがたい贅沢な時間でした。
