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生活習慣の改善で治らない「脂肪肝」はどう治療する?早期発見の重要性と進行を防ぐ薬物療法を解説

生活習慣の改善で治らない「脂肪肝」はどう治療する?早期発見の重要性と進行を防ぐ薬物療法を解説

生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合や、合併症を持つ場合には薬物療法が検討されます。現在、脂肪肝そのものに対する特効薬はありませんが、関連する疾患の治療薬が用いられることがあります。また、新しい治療法の研究も進んでいます。ここでは、現在の薬物療法と今後期待される治療法について紹介します。

中路 幸之助

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

脂肪肝の薬物療法と今後の治療

生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合や、すでに合併症を持っている場合には、薬物療法が検討されます。現在、脂肪肝そのものに対する特効薬はありませんが、関連する疾患の治療薬が用いられることがあります。

現在使用されている薬物療法

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に対しては、ビタミンEの投与が検討されることがあります。ビタミンEには抗酸化作用があり、肝臓の酸化ストレスを軽減する効果が期待されています。ただし、高用量を長期間使用した場合の安全性については議論があるため、医師の指導のもとで使用することが重要です。
糖尿病を合併している場合には、血糖降下薬が治療に用いられます。なかでも、GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬などは、体重減少や肝機能改善、脂肪肝の改善効果が報告されています。これらの薬剤は、インスリンの効きが悪くなる状態(インスリン抵抗性)を改善することで、肝臓への脂肪蓄積を抑える働きがあると考えられています。ただし、GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬は、日本ではあくまで2型糖尿病の治療薬として承認・処方されている薬剤です。脂肪肝やNASHのみを理由として保険診療で処方されるものではなく、糖尿病の診断がある場合に限って使用されます。
脂質異常症に対しては、スタチン系薬剤やフィブラート系薬剤が処方されることがあります。これらは血中のコレステロールや中性脂肪を低下させる薬剤であり、間接的に肝臓の脂肪蓄積の軽減につながる可能性があります。また、肝庇護薬として、ウルソデオキシコール酸が使用されることもあります。この薬剤は胆汁の流れを改善し、肝細胞の保護作用を持つとされています。ただし、脂肪肝そのものへの効果については、さらなる研究が必要な状況です。

新しい治療法と研究の進展

炎症が続くと、肝臓の細胞が繊維状に硬くなり(線維化)、本来の柔軟性を失っていきます。これは、皮膚の傷が治る過程でかさぶたができ、硬くなるのと似た現象です。こうした線維化が進行すると、肝臓の機能低下につながるため、線維化を抑える治療が重要と考えられています。
現在、線維化を抑制する薬剤や、肝臓の脂肪代謝を改善する薬剤などが、臨床試験の段階にあります。FGF21アナログやGLP-1受容体作動薬の一種であるセマグルチドは、体重減少効果とともに肝臓の脂肪減少や炎症抑制効果が報告されており、将来的にNASH治療の選択肢となる可能性があります。
チアゾリジン系薬剤であるピオグリタゾンも、NASHの改善効果が示されています。インスリン抵抗性を改善することで、肝臓の炎症や線維化を抑制する働きがあるとされています。ただし、体重増加や骨折リスクの上昇などの副作用があるため、使用には注意が必要です。
再生医療の分野では、幹細胞を用いた治療法の研究も進められています。ただし、これらはまだ実用化には至っておらず、今後の研究成果が期待される段階です。

まとめ

脂肪肝は、早期に発見し適切に対処すれば、改善が十分に期待できる病気です。アルコールの過剰摂取だけでなく、食生活の乱れや運動不足、肥満など、さまざまな要因が関与しています。お酒を飲まない方でも脂肪肝になる可能性があることを理解し、日頃から健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
自覚症状が乏しいため、定期的な健康診断を受けて肝機能をチェックし、異常が見つかった場合には早めに医療機関を受診しましょう。生活習慣の改善を中心とした治療により、肝臓の健康を守り、将来的な肝硬変や肝がんのリスクを減らすことにつながります。
肝臓は再生能力が高い臓器ですが、ダメージが蓄積すると回復が難しくなります。今日からできる小さな習慣の改善が、長期的な健康維持の第一歩となるでしょう。ご自身の身体と向き合い、必要に応じて医療の専門家に相談しながら、肝臓を大切にする生活を続けていきましょう。

参考文献

J₋stage「非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD)/非アルコール性 脂肪肝炎(NASH)」

東北大学大学病院薬学研究科「脂肪肝・肥満の治療作用を有するシグナル経路の発見」

配信元: Medical DOC

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