外国につながる人びとへの差別と偏見を助長するおそれがある──。茨城県弁護士会(遠藤俊弘会長)は、茨城県が導入を予定している「不法就労外国人に関する通報報奨制度」の撤回を求める会長声明を発表した。声明は3月11日付。
茨城県は新年度から、不法就労の外国人を雇用している事業者などに関する情報提供を市民から募り、摘発につながった場合に報奨金を支払う制度を開始する方針を明らかにしている。不法就労対策の一環とされるが、外国人を支援する団体などからは反対の声があがっている。
●「社会に差別と分断を生じさせる」
声明では、「不法就労」には在留資格のない外国人の就労のほか、在留資格の範囲を超えた就労や資格外活動なども含まれると説明。「就労しているという外形的な事実だけでは、それが『不法就労』かどうかは明らかではない」と指摘した。
また、報奨金付きの通報制度を導入すれば、「外国につながる人びとが就労しているだけで、不法就労ではないかという疑いの目を持たせることになる」として、「不当な偏見を生み、社会に差別と分断を生じさせることになる」と懸念を示した。
さらに、不法就労の背景には、農業分野の深刻な人手不足や、技能実習生がパワハラや劣悪な労働環境から逃げ出すケースなどがあると指摘。問題の解決には、柔軟な在留資格の創設や転職・転籍制度の見直し、相談体制の整備などが必要だとした。
そのうえで「外国籍者など外国につながる人びとに対する過剰な偏見、差別を生み、社会の分断を招く」として、通報報奨金制度の撤回を強く求めている。

