【新生児】脳室内出血の代表的な症状や特徴
ここまで成人の脳室内出血について説明してきましたが、新生児でも脳室内出血を生じる場合があります。新生児の場合は症状が非典型的で、活気がない、哺乳力が弱い、反射が増加する、無呼吸、痙攣発作といったものが代表的です。また新生児の頭蓋骨は完全にはつながっていないため、水頭症を来たすと大泉門と呼ばれる前頭部の隙間が膨隆してくる場合もあります。逆に言えば骨の隙間からエコー検査を用いて、脳室内の出血を確認して診断することも可能です。また新生児脳室内出血の90%程度は、生後72時間以内に生じるとされます。
脳室内出血の主な原因・治療
前述のような症状が見られた場合、特に意識障害などを生じている場合は救急救命科や脳神経外科・内科などに救急搬送されるケースが多いです。そして原因を特定するために頭部CTや頭部造影CT、カテーテルによる脳血管造影などの緊急検査が行われます。脳室内出血の原因は様々ですが、いずれにしても何らかの外科治療を行わなければならない場合が多く、脳神経外科が治療を担当することになります。入院期間は原因や後遺症の程度などによって様々で、2-4週間程度のこともあれば、リハビリのために半年以上の治療期間を要する場合もあります。ここでは代表的な脳室内出血の原因について解説します。
水頭症に対する緊急治療
意識障害を伴う水頭症は放置すると命にかかわるため、脳室拡大を解除するための緊急手術を行います。具体的には脳室ドレナージ術といって、頭蓋骨に小さな穴をあけ(穿頭と言います。)、脳の表面から脳室の中に向かってチューブを通す手術です。手術後、チューブは体表の外に出してしばらく管理します。つまり血液の混じった脳脊髄液を体外に排出することで、髄液の量をコントロールして水頭症を軽減させ、さらに血液の除去も同時に行います。病院によっては内視鏡手術が行われる場合もあり、これは小さく開頭して脳の表面から脳室内に向かって内視鏡を挿入し、直接的に出血を取り除く方法です。いずれの方法にせよ、脳室が縮小することによって意識障害は徐々に改善していきます。
原因:脳血管の異常
脳室内出血は主に脳血管の異常によって生じます。具体的には、脳(内)出血の脳室穿破、くも膜下出血(脳動脈瘤の破裂)、脳動静脈奇形、もやもや病、といったものが挙げられます。それぞれの原因によって対処法は異なりますが、何らかの外科治療を要する場合がほとんどです。
脳(内)出血:脳出血の原因の多くは高血圧です。手術ができない部位(脳幹)の出血であったり、出血が少なかったりすると、手術せずに経過観察する場合もあります。出血量が多い場合は手術で血腫を除去します。
くも膜下出血:くも膜下出血の原因の多くは脳動脈瘤の破裂ですが、時に脳室内を中心に出血する場合もあります。再破裂を生じると致死的になるため、緊急で開頭術やカテーテルによる動脈瘤の止血処置を行います。
脳動静脈奇形:頭蓋内の動脈と静脈とに異常な血管のつながりができ、それが塊となって頭蓋内に存在している病気です。破裂を予防するために手術で摘出したり、カテーテルによる塞栓術を行ったりします。
もやもや病:頭蓋内の血管が徐々に細くなり、もやもやとした見た目になっていく病気です。成人の場合は脳出血を生じやすいとされます。再出血を予防するために脳血管のバイパス術を行う場合があります。
原因:脳室内腫瘍
脳室内にできた腫瘍から出血する場合もあります。その場合は腫瘍の摘出も合わせて検討されます。腫瘍の種類によって、術後に行う治療方針も変わってきます。
原因:特発性
入院中に精査を行ったとしても、稀に原因が特定できない場合もあります。再発の懸念もありますが、ひとまずは外来で厳重に経過観察を行っていきます。
慢性期の水頭症に対する治療
脳室内出血の急性期を乗り越えた後にしばらくして水頭症が出現する場合もあります。このような病態を出血後の二次性水頭症といい、歩行障害や認知機能障害、尿失禁といった症状で気づかれます。治療は手術しかなく、シャントと呼ばれる機械を埋め込んだり、内視鏡を用いて新しい髄液の通り道を作ったり(第三脳室底開窓術)する方法があります。

