
日々、家事に育児に仕事にと全力疾走していると、ふとした瞬間に「あ、もう限界かも……」と感じることがありますよね。
それはもしかしたら、体力の限界というよりも、「脳の空き容量」が限界を迎えているサインかもしれません。
仕事のタスク、子どもの予定、料理に掃除……。幾重にも重なるマルチタスクによって、私たちの脳は常にオーバーヒート気味です。 「育児や仕事はどうしてもイレギュラーが続くけれど、せめて家事だけは、なるべく頭を使わずに済む『オートモード』で回したい!」
そんな願いを叶えるべく、レタスクラブは知的家事プロデューサーの本間朝子さんを直撃しました。
本間さんに伺ったのは、「脳が疲れない家事」を実現するための、目からウロコの仕組み化のコツ。今回は、家事の中でも苦手な人が多い「掃除編」をお届けします!

▶教えてくれた人
本間朝子さん
知的家事プロデューサー。家事を「がんばる」のではなく、「仕組み」にしてラクにする専門家。動線・収納・家電・ルーティンの見直しを通して、疲れない家事の設計を提案する。近年は、スマート家電などのデジタルツールを活用した“脳の疲れを減らす家事術”も実践。メディア出演、執筆、企業・自治体向けコンテンツ制作など幅広く活動中。▶︎ note:asakohonma_kaji▶︎ Instagram:honma.asako.official
「予防掃除」で汚れを未然に防げば掃除回数が激減

編集部: きれいにしてもまたすぐ汚れるリビング、キッチン、トイレ。掃除は徒労感を覚える家事の筆頭格です。掃除で脳を疲れさせないためにはどうしたらいいでしょうか?
本間さん(以下、敬称略): 実は、私自身も家事のなかでいちばん苦手なのが掃除です。なぜなら家の中にはあらゆる種類の汚れがあり、その種類によって効果的な洗剤や洗い方が違うので、覚えるのがたいへん。とても頭を使うからです。そこで、発想を逆転。「どうやって掃除するか」ではなく、「どうやったら汚れないか」を追求する「予防掃除」を始めました。
編集部: 予防掃除? それは面白い考え方ですね。
本間: ポイントは、汚れにくい環境を先に作っておくこと。すると掃除回数が減るので、「今日こそはやらなくちゃ」という決断を減らすことにもつながります。
編集部:具体的にはどういう方法で汚れを予防するのでしょうか。
本間:汚れの原因になるものを使わない、もしくは極力減らすんです。掃除の手間が増えるのは、汚れやすい形状のものを使っているから。代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
・ヌメリが付きやすいシャンプーボトルや浴室の棚
・カビが生えやすいスポンジホルダーや三角コーナー
・凹凸が多く掃除しにくい歯ブラシスタンド
・ホコリがたまりやすいブラインド
これらは汚れやすく洗いにくいので、管理に手間がかかります。こういうものを使わない、もしくはシンプルで拭きやすい形のものに交換するだけで、掃除が格段にラクになります。
編集部:なるほど、きれいに保つ努力をするよりも、汚れにくいものを選ぶのが予防掃除なんですね。
本間:床にものを置かないなど、掃除がしやすくなる環境作りも大事ですよ!
では本間さんに、今日からすぐできる、予防掃除のハック術を教えてもらいましょう。
■「予防掃除」に有効な2つのハック術
1.汚れそうな場所はカバーする
汚れがついてから落とすより、汚れがつきそうな場所にはあらかじめカバーをして守るほうが簡単です。
【例】
・コンロまわり▶油がはねる料理をするときは、一口タイプのアルミガードでフライパンを囲ったり、壁面に汚れ予防シートを貼って油汚れを防ぐ
・冷蔵庫のドアポケットや調味料棚▶液だれしてもいいようにキッチンペーパーを敷く
・浴室▶カビを防ぐために予防剤を使う
・建具のすき間やサッシの溝▶ホコリが入らないようマスキングテープを貼る(半年ごとに交換)
汚れたらカバーをはずして交換するだけなので、掃除の負担は大きく減ります。

アルミガードは畳んでしまえるので、使う時にサッと出して置くことができる
2.ロボット掃除機を活動しやすく
掃除が苦手な人の強い味方、ロボット掃除機! ただし、床にものが散乱していると効果は半減します。日頃から次のような対策をすると掃除しやすくなり、ホコリや汚れも防げます。
・床置きしがちなもの、バッグやゴミ箱などはフックで吊す
・空気清浄機や観葉植物など、重いものはキャスター台に乗せて動かしやすくする
「ついで掃除」「ながら掃除」も併用しよう

編集部: 予防掃除は簡単ですばらしいです! でも、これだけで掃除回数を0にするのは難しいですよね……。
本間: そこで、予防掃除と相性のいい「ついで掃除」「ながら掃除」を加えます。これらのポイントは「生活動線に掃除を組み込むこと」。
たとえば、こんな感じです。
・調理が終わったら、手拭きタオルで冷蔵庫や電子レンジなどの家電をさっと拭く
・手を洗うときは、ハンドソープのついた手で洗面ボウルや蛇口をなでる
・シンクの排水口ネットを交換するときに、新しいネットに洗剤をつけてシンクを掃除する
編集部:なるほど、普段やっている動作や作業に掃除を組み込めばいいんですね。
本間: はい。シンクや洗面台を使ったら、その場で5秒掃除することを心がけ、掃除の作業を小さくわけて習慣化すれば、やがて無意識にできるようになります。すると「いつ掃除をしよう」と悩んで脳を疲れさせることがなくなり、掃除は考えなくても流れの中で終わる作業になる、というわけです。
本間さんには、今日からできる「ついで掃除・ながら掃除」のハック術も教えてもらいました。
■「ついで掃除・ながら掃除」に有効な2つのハック術
1.各部屋に掃除道具をセットする
掃除するたびに、いちいち道具を取りに行かなければならない。このひと手間が、「ついでに掃除しよう」という気持ちを失わせます。掃除道具は使う場所の近くに置きましょう。同じ道具が複数か所にあってもいいんです。フロアワイパーなどは収納せず、部屋の隅に立てかけておくのがおすすめ。すると、家族も掃除に参加しやすくなります。

よく使うハンディワイパーは各部屋の収納扉裏などに吊しておく
2.「最低限ここだけやれば」を知っておく
平日はとにかく掃除に割ける時間がない。そこで、「最低限ここだけ掃除しておけばきれいに見える」ポイントを抑えておきましょう。
・リビング▶フローリングは部屋の隅にホコリがたまりやすい。壁際や四隅だけをフロアワイパーでさっと拭く
・トイレ▶便座の裏、便器の縁裏、便器の手前の床(時計で言うと4時と8時の間)をトイレシートで拭く
・洗面所・キッチン▶蛇口を柔らかい布でから拭きする。光るものを光らせると、全体がきれいに見える
編集部:掃除は考えずにできる「仕組み」を作っておくことが大切なんですね。
本間: もうひとつ言うと、やらなくていい掃除を手放すのも立派な予防掃除です。毎日やらなくてもいい掃除まで抱え込むと、負担感が重くなりますからね。たとえば、寝るだけの寝室はあまり汚れないので、週に一度の掃除で十分。こんな感じで、がんばりすぎない家事を目指しましょう!
文=高梨奈々

