翼状片は進行すると視力に影響を及ぼすことがあり、見た目の変化や異物感などの不快な症状も現れるため、手術による切除が行われることがあります。
しかし、手術を受けるにあたって「手術は失敗することがあるの?」「再発の心配はないの?」といった不安を抱える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では翼状片手術は失敗することはあるのかについて以下の点を中心にご紹介します。
翼状片について
翼状片の治療について
翼状片の再発について
翼状片手術は失敗することはあるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
柳 靖雄(医師)
東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。
翼状片について

翼状片はどのような病気ですか?
翼状片とは、白目(結膜)の組織が異常に増殖し、黒目(角膜)の方へ入り込んでくる病気です。多くは鼻側から角膜に向かって進行し、血管を伴っているため、黒目の一部が赤く見えることがあります。
良性ではありますが、進行すると異物感や充血を引き起こすほか、角膜が引っ張られて乱視が強くなったり、視力が低下したりすることもあります。症状が軽度であれば経過観察で様子を見ますが、瞳孔付近まで達する場合には手術が検討されます。
翼状片の原因は何ですか?
翼状片の原因には紫外線の影響が挙げられます。長時間日差しにさらされる環境での生活や、屋外作業に従事する方に多く見られ、紫外線が結膜や角膜に慢性的な刺激を与えることで発症リスクが高まります。
一方で、ストレスが直接の原因となることはありませんが、自律神経の乱れや免疫機能の低下が目の健康に間接的な影響を及ぼす可能性もあります。
翼状片を放置するとどうなりますか?
翼状片を放置すると、少しずつ黒目(角膜)に入り込み、進行とともに乱視や視力低下を引き起こすことがあります。なかでも、翼状片が瞳孔に近づくと角膜の形がゆがみ、見えにくさが強くなります。
進行すると視力の低下を招くおそれがあるため、症状がある場合や広がりが見られる場合には、早めに眼科を受診することが大切です。
翼状片の治療について

翼状片は点眼治療で改善しますか?
翼状片は、点眼治療だけで改善できません。炎症や充血などの症状がある場合には、ステロイドなどの点眼薬で一時的に症状を和らげることは可能とされていますが、翼状片そのものが縮小したり消失したりすることはありません。
進行して角膜の中央に近づくと、視力や見え方に影響を及ぼすため、根本的な治療としては手術による切除が必要になります。
翼状片の手術時期について教えてください
翼状片の手術は、白目と黒目の境界から黒目の中心に向かって侵入し、その中間地点に達する前がひとつの目安とされています。あまり進行してから手術を行うと、角膜の中央に近い部位を切除する必要が出てくるため、術後に角膜の表面がなめらかに整わず、視力の回復が十分に得られないことがあります。
手術時期は、進行の程度や症状をふまえて、医師と適切な時期を相談しましょう。
翼状片の手術の流れを教えてください
翼状片の手術は、主に以下の流れで進められます。
まず、角膜に侵入している翼状片の組織を丁寧に取り除きます。この際、必要に応じて結膜の下にある線維組織も一部切除し、再発の原因となる細胞の除去を行います。
次に、切除後の露出した部分を覆うために、ご自身の健康な結膜を別の部位から採取し、移植して縫合します。この自己結膜移植術は、再発リスクの軽減が期待されています。
また、手術中に細胞増殖を抑える目的でマイトマイシンCという薬剤を使用することもあります。
手術後は抗菌薬や抗炎症薬の点眼や内服薬が処方され、術後1週間前後で抜糸が行われます。その後も再発予防や炎症の有無を確認するため、定期的な診察が必要です。
翼状片の手術で失敗するケースはありますか?
翼状片の手術は安全性が高いとされている手術であり、重大な失敗が起こることはまれですが、再発しやすい疾患であるため注意が必要です。
手術のタイミングが早すぎたり、再発予防の処置が不十分であったりすると、再発のリスクが高くなります。また、術後に充血が長引くことがあり、特に再発した場合には目が強く赤くなることもあります。

