頭痛は多くの人が一度は経験する、非常に身近な症状ですが、その背景はさまざまです。中でも片頭痛は、命に関わる病気ではない一方で、慢性化しやすく日常生活や仕事に支障をきたすことが多くあります。今回は頭痛の種類と注意点、片頭痛の特徴、急性期治療薬との正しい付き合い方まで、日本脳神経外科学会専門医の原先生(原脳神経外科クリニック)に聞きました。
※2026年1月取材。

監修医師:
原 晃一(原脳神経外科クリニック)
慶應義塾大学医学部卒業。その後、慶應義塾大学医学部外科学教室入局、済生会宇都宮病院、川崎市立川崎病院、大田原赤十字病院(現・那須赤十字病院)、済生会横浜市東部病院、日野市立病院などで脳神経外科医として経験を積む。2017年、東京都日野市に「原脳神経外科クリニック」を開院。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医。
頭痛の種類と注意点、医師が解説!
編集部
頭痛は、どのように分類されますか?
原先生
頭痛の分類は非常に多く、「国際頭痛分類第3版(ICHD-3)」では、頭痛は①一次性頭痛②二次性頭痛③有痛性脳神経ニューロパチー・そのほかの顔面痛といった大分類の下に、細かな診断名を含めると300を超える項目が記載されています。脳腫瘍や出血などの明らかな病変を伴わずに頭痛そのものが病気であるものを一次性頭痛、何らかの病気が原因となって起こる頭痛を二次性頭痛と呼びます。
編集部
特に見逃してはいけない頭痛について教えてください。
原先生
注意が必要なのは二次性頭痛です。脳腫瘍、脳出血、くも膜下出血など、生命に関わる病気が隠れていることがあります。頻度は高くありませんが、放置すると重篤な経過をたどる可能性があるため、早めの受診が重要になります。
編集部
どのような症状があった場合、受診した方がよいのでしょうか?
原先生
これまで経験したことのないような激しい頭痛が突然起こった場合や、徐々に強くなっている場合、頻度が短期間で増えてきた場合は注意が必要です。また、朝の頭痛で目が覚める、手足のまひやしびれを感じる、ろれつが回らないといった神経症状を伴うケースも、早めに医療機関を受診してください。
編集部
実際に頭痛を訴えて受診する人は、どのタイプが多いのでしょうか?
原先生
頭痛を訴えて来院する人の多くは一次性頭痛です。脳の病気を伴わないため、命に関わるケースはほとんどないものの、慢性化して繰り返し起こることで、生活の質が大きく低下してしまいます。
一次性頭痛の種類と片頭痛の特徴
編集部
一次性頭痛の種類について教えてください。
原先生
一次性頭痛は、主に片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛の三つが大部分を占めます。緊張型頭痛は、肩凝りや姿勢の影響などが関係し、締め付けられるような鈍い痛みが頭全体に続くのが特徴です。群発頭痛は、一定期間に集中して非常に強い痛みが起こり、目の奥の激しい痛みや涙、鼻水などを伴います。また、今挙げた症状が組み合わさって同時に起こることもあります。
編集部
片頭痛には、どのような特徴がありますか?
原先生
こめかみから目の周囲にかけてズキズキとした拍動性の痛みが出るのが、片頭痛の典型的な症状です。吐き気や嘔吐(おうと)が同時に起こることも多く、体を動かすと痛みが強くなったり、光や音などの刺激に弱くなったり、避けたくなったりする点も特徴です。
編集部
片頭痛の起こり方や頻度についても教えてください。
原先生
片頭痛の頻度や持続時間には大きな幅があります。数カ月に1回程度の人もいれば、月に何度も発作を繰り返す人もいます。痛みが数時間で治まる場合もあれば、2〜3日続くこともあり、症状の強さや生活への影響も人によって異なります。医学的には、1カ月に4~14日の場合を反復性片頭痛、15日以上の場合を慢性片頭痛と呼びます。
編集部
片頭痛の前兆はあるのでしょうか?
原先生
頭痛が起こる前に、肩凝りや不快感が生じたり、頭痛が起こりそうな予兆がしたりする人はいます。また、目の前にチカチカした光が見えたり、視界の一部が欠けたように見える閃輝暗点(せんきあんてん)と呼ばれる視野の異常を伴ったりすることもあります。

