
現在NHKにて放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)で、主人公・トキ(高石あかり)の父親・松野司之介を演じている岡部たかしのインタビューが到着した。
■怪談を愛する夫婦の何気ない日常を描く
本作は、松江の没落士族の娘・松野トキ(高石) が、夫・ヘブン(トミー・バストウ)と共に、愛する“怪談”を通して、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治の日本で何気ない日常の日々を歩んでいく物語。
文学者・小泉八雲と妻の小泉セツをモデルにしつつも、大胆に再構成し、登場人物や団体名などは一部改称し、フィクションとして描いていく。

■「司之介は、常に“変化のはざま”の中にいる人物」
岡部が演じる松野司之介は、トキの父。松江藩の上級武士だったが、明治になり職を失う。貯金も底を尽きそうだが、プライドが邪魔をして新たな仕事を探すことをしない。一念発起してようやく商売を始めることにしたが、大失敗してとんでもない額の借金を背負ってしまう…。そんな状況下でも、愛する家族のために不器用ながらも奮闘する人物だ。
――「ばけばけ」へのご出演が決まったときの感想を教えてください。
「虎に翼」(2024年4月期の連続テレビ小説)でも、(主人公・寅子の)お父さん役をやらせてもらったので、最初に聞いた時は、本当にいいのかなと思いました。でも、今回「ばけばけ」の脚本を担当している、ふじきみつ彦君は、ずっと一緒に演劇をしてきた仲で、それが何よりもうれしかったですね。ふじき君が朝ドラの脚本を担当することが決まった時は、本当に、巷は歓喜に沸いたんですよ。まさか自分も出られるとは思っていなかったんですけど……いやちょっとは出るかもと思っていたかな(笑)。ずっと一緒にやってきたふじき君の朝ドラに出られることが、すごくうれしかったですね。
――“松野司之介”は、どんな人物ですか?
娘への思いとのはざま、時代のはざまなど、常に「変化のはざま」の中にいる人だと思います。奥さんのフミさんのセリフにも、「父上はね、立ち尽くしちょるの」とあるのですが、時代に翻弄され、どちらにも行けないでいる司之介のことをよく表しているセリフだと思います。父である勘右衛門さんからは武士道をたたき込まれてきましたが、一方で、そうだと思えば行動できる人でもあります。特に、娘のためならまっしぐらなところがあり、この子を大事にするぞ、苦しくてもこの子のためならという親心があるのだと思います。
――トキ役の高石さんをはじめとする松野家の人たちの印象やエピソードを教えてください。
高石さんは、良い意味でベタベタもしてこない。でも、しゃべりかけに行っても普通にしゃべってくれるし、愛想もいいし、ずっと自然体でいる子やなぁという印象です。フミ役の池脇さんは今回が初共演ですが、ものすごく仲良くなりましたね。勘右衛門役の小日向さんは、本当に面白くて明るい人。この先、小日向さんが演じる勘右衛門が、赤ちゃんだったトキを初めて抱くシーンがあるのですが、そこで涙が出そうなくらい感動したんです。松野家のみんながトキのことを本当に思っていて、それを象徴しているようなシーンだと思います。
――ここまでの撮影で、一番印象に残っているシーンは?
第1話の“丑の刻参り”をしているシーンは面白いですよね。最初に撮影したシーンだったんですが、皆さんと演技するのもほとんど初めてだったし、頭から最後まで止めずに撮影するという緊張感もあったので、すごく覚えています。冷静に考えると、“丑の刻参り”をしているのも変なんですけど、それを真面目にやらないと面白くないので、本気でそう思っているところを演じようと思いました。また、司之介が新しい事業を始めるためにウサギをいっぱい買ってくるシーンがあるのですが、ウサギが可愛いから、ちょっと笑えるんですよね。でも、実はそれが借金の元凶になるので、笑えないんです。真面目に言えば言うほど面白いところは、ふじき君の脚本の書き方だと思いながら演らせてもらっています。
――ドラマの見どころと視聴者の方へのメッセージをお願いします。
僕は、今回もお父さん役をやっていますけれど、「虎に翼」の“直言さん”とは人も違うし時代も違います。「虎に翼」も大好きな作品ですが、良い意味でそのイメージを覆せるように、僕もまた新たな気持ちでがんばりたいと思っています。
ふじき君の脚本の魅力は、「会話」だと思っています。ふじき君が書く会話劇が何ページにもわたって続くところがあって、一見ただしゃべっているだけのシーンに思うかもしれないけど、そのセリフの一つひとつにキャラクターの色が出ていると思います。視聴者の皆さんには、朝ちょっと手を止めていただいて、その会話を楽しんでほしいですね。
※高石あかりの「高」は、正式には「はしごだか」


