皆さんは、糖尿病がどのような病気かご存じでしょうか。厚生労働省の発表では、2019年の時点で65歳以上の日本人の5人に1人が糖尿病に罹患していると明かされました。
糖尿病があると狭心症・心筋梗塞などの心臓の病気、脳梗塞・脳卒中といった脳の病気の罹患率が増えるだけでなく、足の神経障害で足切断に至ったり、網膜症という目の病気で失明に至ったり、腎症といって腎臓が悪くなり透析が必要になったりと糖尿病は万病のもとといえます。
では、糖尿病になりやすい方はいるのでしょうか。予防法はあるのでしょうか。この記事では、糖尿病になりやすい方の特徴と予防法をご説明します。

監修医師:
上田 莉子(医師)
関西医科大学卒業。滋賀医科大学医学部付属病院研修医修了。滋賀医科大学医学部付属病院糖尿病内分泌内科専修医、 京都岡本記念病院糖尿病内分泌内科医員、関西医科大学付属病院糖尿病科病院助教などを経て現職。日本糖尿病学会専門医、 日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医、日本専門医機構認定内分泌代謝・糖尿病内科領域 専門研修指導医、内科臨床研修指導医
糖尿病の原因

糖尿病とはどのような病気ですか?
糖尿病では、インスリンの効きが悪いか、インスリンそのものが枯渇傾向になることで、血糖値が持続的に高くなります。その結果、全身の血管が損傷するのが、糖尿病という病気です。特に血管の多い臓器や、細い血管に栄養される組織が損傷されることが有名です。糖尿病では、5年から10年の高血糖の期間を経て、足の先の末梢神経、眼の奥にある網膜、腎臓などに障害を認めるようになることが多いです。それだけでなく、脳や心臓を栄養するやや太めの血管にも障害がおき、脳梗塞や脳出血、狭心症や心筋梗塞が起こりやすくなるのも特徴です。糖尿病は成因により大きく4つに分類され、1型糖尿病と、2型糖尿病、そのほかの特定の機序、疾患による糖尿病、妊娠糖尿病に分けられます。
1型糖尿病の原因を教えてください
最初に、1型糖尿病は基本的には遺伝しません。1型糖尿病で遺伝するのは、一部の限られた遺伝子型のものだけです。1型糖尿病は自己免疫によるものと、特発性といって原因がわからないものがあります。このどちらにも共通するのが、膵臓のβ細胞が破壊されて内因性のインスリンが作れなくなるという病態です。
基本的には体質のため自分で防ごうと思って防げるものではありません。
1型糖尿病を発症すると、それ以降は身体の外からインスリンを補充することが必要です。
2型糖尿病の原因は何ですか?
2型糖尿病は家族内に集積を認める、環境因子と遺伝因子が混ざりあって発症する病気です。つまり、血のつながった家族に2型糖尿病の方がいると体質として遺伝しやすく、そこに環境因子が重なって発症します。生活習慣病として扱われることの多い2型糖尿病ですが、一概に生活習慣のせいだけで発症するとはいえず、その背後には必ず遺伝素因が関与します。
若くして2型糖尿病になった方について、その分贅沢な食事をしていたのではないか、とよく邪推や勘違いをされがちですが、若いときに2型糖尿病を発症した方こそ、加齢という要素なしに発症にいたっているので、遺伝要因が強かったと推察できます。
糖尿病になりやすい人の特徴

1型糖尿病はどのような人がかかりやすいですか?
1型糖尿病の約20%、劇症1型糖尿病の約70%の症例にウイルスが関与していると言われています。自己免疫による1型糖尿病はバセドウ病や自己免疫性肝炎などのほかの自己免疫疾患と関連して発症することも多いです。繰り返しになりますが、基本的には自分で防ごうと思って防げるものではありません。
2型糖尿病にかかりやすい人の特徴を教えてください
血のつながった家族に2型糖尿病の方がいると、体質として遺伝しやすく、これに環境因子が重なって発症します。まずは、ご自身の家族歴といって、家系に糖尿病の方がいないか調べてみましょう。
また、肥満傾向にある方は注意が必要です。やせ型の方でも遺伝要因があれば発症するのが2型糖尿病ですが、肥満はインスリンを効きにくい状況を作り出し、より2型糖尿病の発症が発症しやすくなります。
女性の場合は妊娠を契機に2型糖尿病に罹患することもあります。子どもがお腹のなかにいることが、インスリンが効きにくい状況を作り出すためです。
身体にがんができた場合も、インスリンが効きにくい状況ができるため、2型糖尿病を発症することが知られています。

