嫌な記憶を思い出してしまった際の対処法

どれだけ工夫しても、ふとした拍子に嫌な記憶がよみがえることは避けられません。大切なのは、「思い出してしまった自分を責めないこと」と、「いかに早く安全な状態に戻るか」を知っておくことです。ここでは、その場でできる対処のポイントをいくつか紹介します。
「思い出した自分」を責めず、まず呼吸を整える
嫌な記憶が蘇り動悸や息苦しさを感じた時は、自分を責めず一歩引いた視点を持ちましょう。「体が危険だと勘違いしている」と捉え直すことが大切です。その上で、鼻から吸って口から長く吐く腹式呼吸を数分間試してみてください。自律神経を落ち着かせるこの方法は、心身を冷静に保つために非常に有効です。
「今ここ」に注意をアンカーするグラウンディング
グラウンディングは「今ここ」に注意をつなぎとめ、過去の記憶に飲み込まれないようにするスキルです。五感を用い、見えるものを5つ挙げる、感触を意識する、周囲の音を聴くといった具体例があります。トラウマ治療や認知行動療法でも活用される手法で、フラッシュバック時の不安を和らげるのに役立つとされています。
感情が落ち着いてから、出来事を整理し直す
その場の強い感情が落ち着いたら、「なぜ今この記憶が浮かんだのか」「どんな考えが同時に浮かんだか」を振り返りましょう。認知行動療法では、トリガーや自動思考、感情の強さを記録し検討することで、より楽な考え方へ修正します。一人で困難な場合は、心理士や精神科医と共に振り返ることで、安全に対処法を見つけることが可能です。
セルフケアと「楽しみ」の時間を意識的につくる
嫌な記憶に捉われている時こそ、趣味や楽しみの時間を後回しにしないことが大切です。認知行動療法の「行動活性化」では、あえて小さな喜びや達成感を得られる活動を予定に組み込むことで、不安の軽減を目指します。散歩や音楽など、少しでも気分が楽になる習慣を積み重ねましょう。こうした日々の積み重ねが、心の回復力を高める土台となります。
症状が強いときは専門家に相談する
嫌な記憶によって日常生活に支障が出ている場合は、一人で抱え込まず専門家に相談することが重要です。PTSDやうつ病などでは、フラッシュバックや強いとらわれが症状として現れることがあります。認知行動療法や薬物療法など、エビデンスのある治療法も確立されています。迷う段階でも構いませんので、早めに心療内科やカウンセリングを受診してください。
「嫌な記憶を消す方法」についてよくある質問

ここまで嫌な記憶を消す方法について紹介しました。ここでは「嫌な記憶を消す方法」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
嫌な記憶はどれくらいの期間覚えているものなのでしょうか?
関口 雅則 医師
記憶の定着や持続期間は、体験の性質によって大きく異なります。命に関わるトラウマは数年後も鮮明に蘇り、PTSDとして治療が必要な場合もあります。一方で、日常の失敗は時間の経過や環境の変化で和らぐことが一般的です。もし数年経っても苦痛が変わらず生活に支障があるなら、期間を問わず専門家へ相談してください。

