「腹膜播種はCT検査」では写らない?その理由と検査方法を医師が解説!

「腹膜播種はCT検査」では写らない?その理由と検査方法を医師が解説!

腹膜播種を見つけるための検査方法

腹膜播種を見つけるための検査方法

CTをはじめとするさまざまな方法で腹膜播種の有無を調べます。

画像検査

一般的には、造影CT検査や、PET/CT検査、MRI、超音波などの検査が、腹膜播種の検出のために行われています。
造影CT検査は、ヨード造影剤を静脈注射し、CT画像を撮影することで、がんなどの病変や血流の有無などをより詳細に調べることができます。
PET/CTは、PET(Positron Emission Tomography、陽電子放出断層撮影)検査とCT検査を組み合わせたものです。通常は、PET検査にはFDGという放射性フッ素を含むブドウ糖を用います。PET/CT検査では、がん細胞が周囲の正常な細胞よりもブドウ糖を多く消費する性質を肉眼的に描出できるため、がんの診断に役立ちます。

胃がんのように腹膜播種結節を作らないようなタイプのがんの場合には、造影CT検査は推奨されますが、PET/CT検査の精度は高くないことが知られています。PET/CT検査はほかの臓器への転移の評価目的として推奨されています。
一方、膵がんの場合、造影CTよりもPET/CTの方が腹膜播種を見つけやすかったという研究結果もみられます。

血液検査

腹膜播種の診断や、治療後の再発チェックのために腫瘍マーカー検査が行われます。
腫瘍マーカーは、がん細胞が作り出す蛋白質などで、血液検査や尿検査で調べることができます。
例えば、腹膜播種を疑う胃がん症例では、以下のような腫瘍マーカーが高値になることが報告されています。

CA19-9

CA125

CA72-4

STN

ただし、腫瘍マーカーはあくまで補助的な診断ツールです。そのため、血液検査だけで腹膜播種を確定できない点には注意が必要です。

腹膜生検

審査腹腔鏡の際に、播種病変と考えられる部分を少量切除し、顕微鏡で調べます。これは生検といわれます。

また、腹膜播種の診断のため、腹腔内に針を刺して腹水を採取する腹腔穿刺(ふくくうせんし)が行われることがあります。
腹腔穿刺の目的としては、腹水の成分やがん細胞の有無を調べることのほか、大量にたまった腹水を抜いて患者さんの症状を和らげることなどがあります。
腹腔穿刺の際などに、エコーでの補助の元、生検が行われるケースもみられるようになってきています。

CTで腹膜播種が見つかった場合の治療法

CTで腹膜播種が見つかった場合の治療法

CTで腹膜播種を疑う病変があり、ほかの検査結果からも総合的に腹膜播種があると判断された場合、基本的には遠隔転移があるとみなされます。
そのため、胃がんや膵がんの場合、全身化学療法が標準的な治療としてすすめられています。
また、日本では保険適用外ですが、腹腔内に直接抗がん剤を注入して治療する腹腔内化学療法が提案される場合もあります。

一方で、大腸がんの場合、大腸に発生したもともとのがん(原発巣)と同時に見つかった腹膜播種病変が近く、一緒に切除できることが想定される場合には、手術が選択されるケースもあります。
また、卵巣がんでは腹膜播種を伴うものは進行がんとみなされますが、手術で可能な限り原発巣と腹膜播種あるいは転移病変を切除することを目指します。

配信元: Medical DOC

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