印象派時代『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』(ルノワール)
『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』(ルノワール), Public domain.
フランス印象派を代表する画家、ピエール=オーギュスト・ルノワールが1876年に描いた『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』は、パリ・モンマルトルにあった人気のダンスホール「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」の賑やかな午後を切り取った作品です。
絵には、ルノワールの友人や常連客たちがモデルとして登場。正式な舞踏会に参加できる身分ではない庶民が、踊ったり語り合ったりする姿がいきいきと描かれています。
彼らの服装は、当時のパリの若者たちの装いをそのまま映したものです。女性たちは軽やかなドレス、男性はジャケットや帽子を身につけてお洒落を楽しんでいます。
人々の装いが自由になった背景には、19世紀後半の衣服の大量生産があります。流行の服を比較的手ごろな価格で手に入れられるようになり、庶民にもファッションを楽しむ文化が広がっていきました。
また、木漏れ日がドレスや帽子の上で細かくきらめくように表現されている点も印象的です。気軽に踊り、語り、休日を楽しむ人々の姿からは、19世紀末のパリに広がっていた自由で開放的な都市文化が感じられます。

ルノワール『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏』はどんな絵?見どころを解説
『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏』は、ピエール=オーギュスト・ルノワールの最も有名で象徴的な絵画の1つです。1876年に制作されたこの絵画は、パリのモンマルトル地区にあった人気のダンスホール、ムー…
19世紀サロン『マダムXの肖像』(サージェント)
『マダムXの肖像』(サージェント), Public domain.
アメリカ出身の画家、ジョン・シンガー・サージェントが1883年から1884年にかけて制作した『マダムXの肖像』は、フランスに住んでいたヴィルジニー・アメリー・アヴェーニョ・ゴートローを描いた作品です。彼女は当時のパリで有名な美女で、不貞の噂も含めて人々の注目を集める存在でした。
絵のヴィルジニーは横向きに近い姿勢で立ち、胸元の大きく開いた黒いイブニングドレスを身にまとっています。深い黒の布地は染色に手間のかかる高級品であり、当時は裕福な女性が特別な場で身につける装いでもありました。
ラベンダー色のパウダーを使用していたヴィルジニーの自慢の白い肌と、黒のドレスの対比が際立ち、なめらかな肩や腕の質感が印象的に表現されています。背景は暗く抑え、人物を美しく浮かび上がらせる構図です。
また、当初の絵は、右肩のストラップが落ちた姿であったため、挑発的すぎると批評家たちから批判を受けました。しかし、サージェントの描く女性像は官能的な雰囲気を漂わせながらも品格を失っていません。
洗練されたスタイルと気品で多くの人を惹きつけ、現在では社交界の華やかさを象徴する魅力的な肖像画として高く評価されています。
