
甘い物を食べ過ぎるとがんリスク増?(画像はイメージ)
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甘い食べ物を食べ過ぎると、肥満や糖尿病の原因となります。また、糖尿病患者の死因で最も多いのは「がん」といわれており、注意が必要です。実際に甘い物を食べ過ぎた場合、発症リスクは上がるのでしょうか。甘い物の過剰摂取とがんとの関係性や、甘い物の摂取量を無理なく減らすコツなどについて、藤保クリニック(東京都新宿区)院長で糖尿病専門医の飯島康弘さんに聞きました。
内臓脂肪の蓄積ががんリスクを高めるケースも
Q.そもそも、甘い物を食べ過ぎると、体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
飯島さん「甘い物の食べ過ぎが体に起こすことを、私はよく患者さんに“ドミノ倒し”にたとえて説明しています。1枚目のドミノが倒れると、次々と連鎖していくというイメージです」
(1)血糖値の“乱高下”
最初のドミノは、血糖値の乱高下です。甘い物を食べると血糖値がグンと上がり、それを下げようとして膵臓(すいぞう)からインスリンというホルモンが大量に出ます。すると今度は血糖値が急降下して、またおなかが空いたように感じます。これはいわゆる“反応性低血糖”と呼ばれる状態です。
こうして「食べる→血糖値が急上昇→急降下→またおなかが空く→また食べる」という悪循環が始まります。
(2)肥満と内臓脂肪の蓄積
2枚目のドミノは、肥満と内臓脂肪の蓄積です。余ったエネルギーは内臓脂肪としてたまっていきます。内臓脂肪はただの“脂の塊”ではなく、「TNF-α(ティーエヌエフ・アルファ)」や「IL-6(インターロイキン・シックス)」といった炎症を引き起こす物質を出し続けます。つまり、おなかの中で小さな“火事”がくすぶり続けているような状態です。この慢性的な炎症が、のちに様々な病気の引き金になります。
(3)インスリン抵抗性と高インスリン血症
3枚目のドミノは、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が生じ、血液中にインスリンが過剰にある「高インスリン血症」の状態になります。内臓脂肪が増えるとインスリンの効きが悪くなり、膵臓はさらに多くのインスリンを出さなければならなくなるからです。
実はこの高インスリン血症が細胞の増殖を促すシグナルとしても働きます。この点が“がんリスク”と深く関わってきます。
(4)2型糖尿病の発症
4枚目のドミノが、2型糖尿病の発症です。糖尿病になると動脈硬化、腎症、網膜症といった合併症に加え、がんのリスクも上がることが分かっています。
このほかにも、歯周病や脂肪肝(MASLD)、腸内細菌のバランスの乱れ、さらにはうつや不安など、メンタルへの影響なども報告されています。
ただし、ここで大事なことをお伝えしたいのですが、「甘い物=悪」ではありません。問題になるのは、あくまで量、頻度、種類です。甘い物を楽しむこと自体を否定する必要はありません。
血糖値が高いと活性酸素が過剰に作られる
Q.では、実際に甘い物を食べ過ぎるとがんのリスクが上がるのでしょうか。
飯島さん「結論から言うと、“甘い物を食べたら直接がんになる”という単純な話ではありません。ただし、甘い物の食べ過ぎが体の中で引き起こす変化が、複数の経路でがんのリスクを高めることは、医学的な研究で裏付けられています。順番に解説します」
【経路1】甘い物の過剰摂取→糖尿病→がんリスク上昇
日本糖尿病学会と日本癌(がん)学会が合同で設置した委員会の報告によると、2型糖尿病の人は、糖尿病でない人に比べて、がん全体の発症リスクが約1.2倍高いとされています。日本人のデータでは、特にリスクが高いのが肝臓がん(約2.0倍)、膵臓がん(約1.9倍)、大腸がん(約1.4倍)です。
なぜ糖尿病があるとがんが増えるのでしょうか。そのメカニズムとして注目されているのが、高血糖による“酸化ストレス”と、先述の高インスリン血症です。
血糖値が高い状態が続くと、体内で活性酸素が過剰に作られ、細胞のDNAにダメージを与えます。DNAの傷が修復されないまま蓄積すると、がん化のきっかけになり得ます。
また、高インスリン血症では、インスリンが「IGF-1(インスリン様成長因子)」という物質を介して、細胞の増殖スイッチを“オン”にしてしまいます。正常な細胞に対しても、がん化した細胞に対しても、増殖のアクセルを踏んでしまいます。
【経路2】甘い物→肥満・内臓脂肪→慢性炎症→がんリスク上昇
甘い物の食べ過ぎで内臓脂肪が蓄積すると、先ほどのTNF-αやIL-6といった炎症性物質が慢性的に放出され続けます。この“消えない炎症”が、臓器レベルで発がんを促す環境を作り出します。
さらに、内臓脂肪が増えると「アディポネクチン」という“がんの抑え役”をしてくれるホルモンが減ることも分かっています。「ブレーキが弱くなる」と言い換えるとイメージしやすいかもしれません。
国際がん研究機関(IARC)は、肥満を大腸がんや閉経後乳がんなどの“確実な”リスク因子として評価しています。
