「上部内視鏡検査(胃カメラ)」とは?合併症が起きる確率はどのくらい?医師が解説!

「上部内視鏡検査(胃カメラ)」とは?合併症が起きる確率はどのくらい?医師が解説!

上部内視鏡検査(胃カメラ)とは?メディカルドック監修医が検査前日から当日までの流れと注意点、検査を受けたことによる合併症の可能性、検査で発見できる病気についてご紹介します。

木村 香菜

監修医師:
木村 香菜(医師)

名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

「上部内視鏡検査(胃カメラ)」とは?

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)は、先端に小型のカメラがついた、細長く柔軟性のある管である内視鏡を用いた検査です。口から食道、胃、そして小腸の前半部まで挿入し、その内部を観察します。必要な際には生検といって組織を実際に切り取るといった処置を行ったりすることもできます。

「上部内視鏡検査」は何科で検査できる?

上部消化管内視鏡検査は、消化器内科や健康診断科などで検査できます。

「上部内視鏡検査」の費用は?

上部消化管内視鏡検査の費用について見ていきましょう。
上部消化管内視鏡検査の診療報酬点数は、1,140点です。なお、診療報酬1点は10円に相当します。胃の痛みや吐き気などの症状がある場合や、胃がん検診(バリウム検査)で要精密検査となった場合は、保険適用となります。そのため、例えば3割負担の方では約3,500円の自己負担となると想定されます。生検やピロリ菌検査などが行われた際には、その分の費用も追加されます。鎮静剤を使用した場合にも別途料金が発生します。
人間ドックや胃がん検診の一環として上部消化管内視鏡検査が行われた場合は、原則全額自費負担となります。病院によっても異なりますが、約15,000〜50,000円となります。

上部内視鏡検査の合併症

まれに、上部消化管内視鏡検査の合併症が起こる可能性があります。2019〜21年までの3年間で施行した上部消化管内視鏡検査のうち、0.044%に何らかの合併症が起こったとされています。
ここでは、上部消化管内視鏡検査の合併症について解説します。

鎮静・鎮痛薬による呼吸抑制・低酸素血症

上部消化管内視鏡検査では、痛みや不安感のある方に対して、緊張を和らげる目的などで鎮静剤を注射することがあります。ほとんどの方は特に副作用なく用いることができますが、80歳以上などの高齢者の方では効果が出過ぎてしまい、呼吸がしづらくなったりするケースもみられます。そのため、鎮静剤の投与については高齢者では特に慎重に行うことが勧められています。

裂創

裂創(れっそう)は、上部消化管内視鏡検査でまれに起こる合併症の一つです。食道や胃の壁に傷がついてしまうものです。出血が起こる場合もあり、治療のために入院が必要となることもあります。

穿孔

内視鏡検査の重篤な合併症として、穿孔(せんこう;穴が空いてしまうこと)があります。食道は漿膜という構造がないため、穿孔に対して弱いという特徴があります。万が一食道裂孔が起こった場合には、食道の中身が周囲に漏れ出し、命に関わることもあります。入院の上抗生剤の投与が必要となります。手術の可否について、検討されるケースもあります。

歯牙損傷

口からカメラを入れる場合に、まれに歯が抜けてしまったりかけてしまったりすることがあります。グラグラしている歯があるなどについて、検査を受ける前に看護師や医師などのスタッフに事前に伝えておきましょう。

鼻出血

鼻からの検査の際、起こりうる合併症の一つです。検査後しばらくすれば鼻血は止まります。通りやすい鼻がわかっていれば、あらかじめ医療機関のスタッフに伝えておきましょう。

配信元: Medical DOC

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