
これは郵便配達員が実際に経験した不思議な体験談である。いつも配達で伺う山口さんの家にはとても元気なポメラニアンがいた。配達員がいつもおやつやおもちゃを運んできてくれるため(実際は飼い主が注文して配達員は運んでいるだけ…)、ポメラニアンのココは配達員が大好きで、歓喜してお出迎えをしてくれるのだった。そんなある日、山口さんの家に書留を届けに行くと、ココの姿はなく、鳴き声も聞こえず、家中がシーンと静まりかえっていた。
現役の郵便局員が、実際に経験した不思議な話や怖い話を漫画化した「郵便屋が集めた奇談」。漫画の作者・送達ねこ(@jinjanosandou)さんも、現役の郵便局員である。同僚たちが体験した話を漫画化するうちに、送達ねこさんのもとには他局からも体験談が届くようになっていった。本エピソード「ココや」について送達ねこさんに詳しく話を伺ってみた。
■心の地図に癒やしのピンを



本作「ココや」のように、配達先の犬や猫と仲良くなることは少ないそうで、「ワンちゃんをおびやかさないためにも、配達が難しそうな場合は郵便局員は近寄らずに戻ってくることになっています」と語る、作者の送達ねこさん。「それでも犬好きの局員などは、じゃれられて制服に毛をつけてニコニコ帰ってきますし、ポストから猫の手が伸びてタッチされそうになったり、交流を楽しんでいる者も少なくありません」と教えてくれた。
また本作では、配達員が住人や街に詳しい描写があるが、そのことについて送達ねこさんは、「街のことを知ってこそ仕事の精度もあがりますし、把握することで各々の配達員のなかでより大切な聖域になっていると思います。街を回りながら、窓辺に寄ってくるワンちゃん猫ちゃんの姿に癒やされている配達員もたくさんいます。配達地図とは別に、それぞれに心の地図があって、ホッとするピンを足してもらっているのかもしれません」と話す。
読者からは「いつかまた絶対会えるよ」「ココちゃんがいい子で泣いた」などのコメントが寄せられている。自分のせいで大事な愛犬を亡くしたと思っている飼い主にとっては、これがたとえ“怪異”だったとしても、再び前を向いて生きていける…。絶望も希望も愛犬がくれたと感じられる作品だ。
取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)
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