「予定通り帰る」という選択
お正月に帰省したばかりだったこと、義父自身が私たちに連泊を望んでいる様子ではなかったこと。そうした事情もあり、夫はそれ以上言いませんでした。
「自分の希望ばかり通すわけにはいかないから」
そう言って、予定通り帰宅することになったのです。
結果として、娘はその後きちんと登校できたので、胸をなで下ろしました。現実的な判断だったと思います。
それでも残った思い
ただ、時間がたってから、ふと立ち止まりました。
あのとき、私は「家庭を回すこと」ばかり考えていて、夫の気持ちに目を向けられていただろうか、と。
義父のためだけではなく夫自身も、実家で亡くなった母との別れに、もう少し時間が必要だったのかもしれません。
「少し休もうか」
生活を優先するあまり、私はそんな言葉を掛けてあげられませんでした。
夫婦は同じ出来事に向き合っていても、それぞれ別の場所で、別の痛みを抱えることがあります。
あの日の私たちは、どちらも間違ってはいなかったと思います。でも、もう少し寄り添える余地はあったのではないだろうか……。時間がたった今だからこそ、そう感じるのかもしれません。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大空琉菜
受付職を経て、出産を機に「子どもをそばで見守りながら働ける仕事」を模索しライターに転身。 暮らしや思考の整理に関するKindle書籍を4冊出版し、Amazon新着ランキング累計21部門で1位に輝く実績を持つ。 取材や自身の経験をもとに、読者に「自分にもできそう」と前向きになれる記事を執筆。 得意分野は、片づけ、ライフスタイル、子育て、メンタルケアなど。Xでも情報発信中。

