膵臓がんは初期症状がとても乏しく、「気付いた時には進行していた」というケースが少なくありません。背中の痛みや食欲低下、何となく続く倦怠(けんたい)感など、見逃しがちな小さなサインが早期発見の手掛かりになることも。柳田内科胃腸科の柳田先生が、初期に表れる症状と受診の目安を分かりやすく解説します。
※2026年1月取材。
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監修医師:
柳田 佳史(柳田内科胃腸科)
杏林大学医学部卒業。名鉄病院 研修医、同院消化器内科 医員、友愛医療センター消化器内科 医員、柳田内科胃腸科 副院長を経て現職。日本内科学会 認定内科医、日本消化器病学会 消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医。
膵臓がんとは? 初期症状や見逃しがちなサイン
編集部
膵臓がんとは、どのようながんなのでしょうか?
柳田先生
膵臓がんは、膵臓にできる悪性腫瘍です。初期の段階ではほとんど症状が出ないため、発見が遅れやすく、進行してから見つかるケースが多いがんとして知られています。治療が難しいがんの一つであり、早期発見が非常に大切です。
編集部
初期症状は、ほとんどないのでしょうか?
柳田先生
膵臓がんの初期症状はあいまいです。病気の発見につながりやすい症状としては、食欲不振、体重減少、みぞおちや背中の違和感、何となく続く腹部の不快感などが挙げられます。いずれも日常で起こりやすいため、加齢や胃腸の不調として見過ごされやすいのが特徴です。
編集部
初期症状で見極めるのは大変そうですね。
柳田先生
はい。しかも膵臓がんは、患部の位置によって症状の出方に差があります。膵頭部にがんができると紅茶のような色をした尿が出たり、白目が黄色くなったりといった、「黄疸(おうだん)」という症状が見られることはあるものの、そのほかの部位にがんができた場合、症状が全く出ないことも多いのです。
編集部
特に注意したいサインはありますか?
柳田先生
「原因不明の体重減少」や「背中の鈍い痛み」は、要注意です。背中の痛みは、姿勢や筋肉の問題と勘違いされやすく、整形外科を受診してしまうこともあります。また、突然糖尿病を発症したり、血糖コントロールが悪化したりすることも、膵臓の異常を示す重要なサインです。
「膵臓がんかも…」と思ったら
編集部
どのタイミングで医療機関を受診すべきでしょうか?
柳田先生
原因がはっきりしない腹部の違和感や背中の痛みが数週間以上続く場合、また体重減少や食欲低下が重なっている場合は、一度受診をおすすめします。特に、「いつもと違う説明がつかない不調」が続くなら医療機関へ行きましょう。そのほか、「糖尿病が急に悪化した場合」も受診すべきタイミングです。
編集部
最初は、何科を受診するとよいでしょうか?
柳田先生
まずは内科、特に消化器内科を受診するのが望ましいでしょう。腹部超音波検査や血液検査を行い、必要に応じてCTやMRI、超音波内視鏡などの精密検査も実施します。早い段階で専門科に通うことが、診断の遅れを防ぐポイントです。
編集部
健康診断では見つからないのでしょうか?
柳田先生
残念ながら、一般的な健康診断だけで初期の膵臓がんを見つけることは難しいのが現状です。血液検査や腹部超音波で異常が出ないことも多く、症状やリスクを踏まえて追加検査を行う必要があります。発見率を上げるためにも、定期的に健康診断や人間ドックを受け、見逃しを防ぎましょう。少なくとも1年に1回は腹部超音波検査の受診をおすすめします。
編集部
早期発見のために意識すべきことを教えてください。
柳田先生
「症状が軽いから大丈夫」と自己判断しないことです。膵臓がんは、早い段階で見つけられるかどうかが、その後の治療成績を左右します。「軽い不調が出ただけ」と違和感を放置せず、経過を見る期間を決めて受診する姿勢が重要です。

