女児の間で人気の「ボンボンドロップシール」(通称ボンドロ)。ぷっくりとした立体感とつやのある質感が特徴のシールで、集めてシール帳に貼ったり、友だちと交換したりする「シール活動」(シル活)が広がっています。
一方で、「友だちにシールを盗まれた」といったトラブルがSNSで報告されています。
たとえば、小学生の娘が自宅で友だちと遊んだ後、シール帳が2冊まるごと見当たらなくなり、後日戻ってきたものの、貼ってあったシールの多くが抜き取られていたという投稿がありました。
別のケースでは、友だちとシール交換をしている最中、数分席を外した間にシール帳から数枚のシールが抜き取られていたという声もあります。ほかにも、友だちの家に遊びに行った際にシール帳がなくなったという投稿も見られました。
「盗まれた」とされるシールの中には、「ちいかわ」やサンリオなどの人気キャラクターのボンドロも含まれていたといいます。シールが抜き取られて隙間ができたシール帳を見て、子どもがショックを受けているという投稿もありました。
SNSでは、「証拠がないのに責めていいのか」「相手の親にどう伝えればよいのか」「子ども同士のこととして見守るべきなのか」など、対応に悩む保護者の声も広がっています。
過熱するシル活ですが、子ども同士の遊びの中で起きたシールの持ち去りは、法的にはどのように考えられるのでしょうか。もし意図的に持ち帰った場合、「窃盗」にあたる可能性はあるのでしょうか。日向一仁弁護士に聞きました。
●保護者にも賠償責任の可能性
──大人であれば窃盗罪が問題になりますが、小学生の場合、刑事責任や保護者の責任はどのように考えられますか。
小学生など14歳未満の子どもが他人のシールを故意に持ち去った場合、法的には窃盗に該当する可能性がある行為であっても、14歳未満は刑事責任能力が認められていないため、窃盗罪として刑罰が科されることはありません。
一方で、事情によっては「触法少年」(14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした者)として扱われ、警察による補導や、児童相談所による調査・指導の対象となることがあります。
保護者の責任についてですが、民事上は、小学生の場合、自己の行為の責任を理解するに足りる知能(責任能力)がないと判断されることが多く、子ども本人は損害賠償責任を負いません(民法712条)。その場合、原則として保護者などの監督義務者が損害賠償責任を負う可能性があります(民法714条)。
具体的には、持ち去ったシールの返還や、返還できない場合にはそのシールの価値に相当する金額の弁償などが問題となり得ます。
●「犯人」と決めつけるのはトラブルになる可能性
──誰が持ち去ったのか証拠がはっきりしないケースも多いと思います。被害を受けた側の保護者が相手の子どもや保護者に事情を確認したり、返還を求めたりすることは問題ないのでしょうか。
誰が持ち去ったのか確証がない段階で、相手を「犯人」と決めつけて責めることは、名誉毀損など新たなトラブルを招くおそれがあるため、避けたほうが無難です。証拠がはっきりしない場合には、「盗まれた」と断定するような言い方は避けたほうがよいでしょう。
たとえば、「うちの子のシール帳からシールがなくなり、本人がとても悲しんでいる。お宅のお子さんの持ち物に紛れ込んでいないか、一度確認してもらえないか」というように、あくまで事実確認をお願いする形で慎重に伝えるのが望ましいといえます。
相手の保護者に事情を確認したり、返還について相談したりすること自体が直ちに問題になるものではありません。しかし、証拠がない段階で相手の子どもを犯人と決めつけるような言い方は、かえってトラブルを大きくする可能性があります。

