認知症と似ている症状が現れる病気や状況

親に変化が出たとき、すぐに認知症と決めつけず、ほかの原因も並行して考えると次の行動が取りやすいです。原因によっては治療や環境調整で改善が期待できるため、家族は経過ときっかけを整理し、早めに相談につなげましょう。
認知症と似た症状が生じる可能性がある病気
認知機能の低下は、脳の病気だけでなく、内科的な不調でも起こりえます。例えば、感染症や脱水でぼんやりして会話がかみ合いにくくなることがあります。甲状腺機能の低下、栄養の不足(特にビタミンB12や葉酸)、貧血などでも、意欲低下や集中しにくさが表れる場合があります。急に日付がわからなくなる、夜に落ち着かず興奮する、幻覚が出るなどは、せん妄として現れることがあり、原因の治療で軽くなることがあります。また、頭部外傷の後に慢性硬膜下血腫が隠れていたり、歩行のふらつきや尿のトラブルと一緒に正常圧水頭症が関係したりすることもあります。急な変化、転倒や打撲の後、発熱や食事量低下があるときは、受診時に必ず伝えましょう。
ストレスの増加や環境の変化
引っ越しや入院、家族構成の変化、介護サービスの開始など生活環境が変わった直後は、慣れない手続きや情報の整理が増えるため、一時的に物忘れが増えたように感じたり、段取りが乱れたりする場合があります。数日から数週間の範囲で、予定を把握しにくい、準備に時間がかかる、同じ内容を確認する回数が増えるなど、生活のやりにくさとして表れやすいです。環境に慣れて負担が減ると落ち着いてくることもあります。
薬の副作用や体調不良
薬の影響で眠気やふらつきが増えると、反応が鈍くなり、物忘れが強まったようにみえることがあります。薬の数が増えた時期や飲み方が変わった時期と症状の出方を照らし合わせて記録しましょう。風邪気味や便秘、痛み、難聴や視力低下なども、会話や行動に影響し、誤解や不安につながります。
親が認知症かもとと思ったときに家族がやるべきこと

親の変化に気付いたら、家族は焦って結論を急ぐより、状況を整えて相談につなげることが近道です。ここでは、記録の取り方、安全を守る工夫、相談先へのつながり方を、すぐに始められる形で解説します。
親の変化を記録する
受診や相談の場では、短い時間で経過を伝える必要があります。そこで、気付いた出来事をメモに残しておくと話が整理しやすいです。日付、起きた場面、困った内容、家族がどう対応したか、本人の反応をセットで書きます。例えば、支払いの遅れが出た、同じ物を買った、服薬が重なった、火を消し忘れたなど具体例があるほど評価が進みやすいです。あわせて、発熱、食事量、水分、睡眠、便秘、痛み、転倒の有無も簡単に残すと、認知症以外の原因も見落としにくいです。スマートフォンのメモでも手帳でもかまいません。家族が一人で抱え込まず、共有できる形にすると続けやすいです。
安全の確認と対策を実施する
生活の安全は、危険が起きる前に対策しておきましょう。家の中では、転倒しやすい段差や滑りやすいマットを減らし、夜間は足元灯を置くとよいです。火の取り扱いが心配なら、IHへの切り替えや消し忘れ防止の器具、調理の見守りを組み合わせます。金銭面は、通帳やカードの置き場所を固定し、請求書の置き場と支払い日をみえる形にします。知らない電話や訪問で契約しない、暗証番号を伝えないなど家族で合言葉を決めておく方法もあります。運転を続けている場合は、同乗して運転の癖やヒヤリとする場面を確認し、無理のない範囲で運転機会を減らす相談を始めましょう。買い物や通院の代替手段も一緒に考えておくことも大切です。
相談窓口とつながる
家族だけで判断し続けると、負担が積み上がります。まずは、かかりつけ医に記録を持参し、必要に応じて認知症を扱う医療機関や地域の支援へつなげてもらう流れが取りやすいです。介護保険や生活支援の相談は、地域包括支援センターが窓口です。受診前でも相談でき、本人への伝え方や家族の負担整理も一緒に考えられます。夜間の徘徊や行方不明が心配なときは、地域の見守りの仕組みや警察への事前相談も選択肢です。

