腎機能がさらに低下すると、全身にさまざまな影響が及ぶようになります。貧血による息切れや、夜間に何度もトイレに起きるといった症状は、腎臓の機能低下が進んでいるサインかもしれません。この段階では、より専門的な医療介入が必要となってきます。進行した腎症で現れる特徴的な症状とその対処法について、詳しくご紹介します。

監修医師:
井筒 琢磨(医師)
2014年 宮城県仙台市立病院 医局
2016年 宮城県仙台市立病院 循環器内科
2019年 社会福祉法人仁生社江戸川病院 糖尿病・代謝・腎臓内科
所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本不整脈心電図学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心エコー学会
糖尿病性腎症の症状が進行した状態
腎機能がさらに低下すると、身体全体に深刻な影響が及ぶようになります。この段階では医療的な介入が不可欠となるでしょう。
腎性貧血と夜間頻尿
腎症が進行すると、尿を濃縮する力が低下し、尿量が増えたり減ったりと不安定になります。夜間に何度もトイレに起きるようになるのも、腎機能の低下を示す症状の一つです。また、腎臓は赤血球を作るホルモン(エリスロポエチン)を分泌する役割も担っています。腎機能が低下するとこのホルモンの産生が減少し、貧血が起こりやすくなります。貧血によって息切れや動悸、めまいなどの症状が現れ、日常生活の質が低下する恐れがあります。定期的な血液検査で貧血の有無を確認し、必要に応じて治療を受けることが大切です。
尿毒症による多彩な症状(食欲不振・かゆみなど)
腎機能が著しく低下し、老廃物や毒素が体内に蓄積した状態を「尿毒症」と呼びます。尿毒症は全身に多彩な症状を引き起こします。消化器系では吐き気、嘔吐、食欲不振。皮膚では、乾燥や色素沈着、耐え難いかゆみ(掻痒症)。神経系では、集中力の低下、足がむずむずする「むずむず脚症候群」、手足のしびれなどが現れます。口の中にアンモニア臭や金属味を感じることもあります。これらの症状は、透析導入を検討すべき重要なサインとなります。
まとめ
糖尿病性腎症は、早期には症状が現れにくい一方で、進行すると透析が必要になる深刻な合併症です。しかし、血糖値や血圧の適切な管理、定期的な検査、そして生活習慣の改善によって、発症を予防したり進行を遅らせたりすることは十分に可能です。症状が出てからではなく、糖尿病と診断された時点から腎臓を守る取り組みを始めることが大切です。気になる症状がある方や、長期間糖尿病と付き合っている方は、ぜひ一度専門医に相談してみてください。
参考文献
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」
厚生労働省「慢性腎臓病(CKD)」
日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」
糖尿病情報センター「腎症」

