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職場が合わないだけじゃない。『適応障害』の人が抱える困難と正しい支援

職場が合わないだけじゃない。『適応障害』の人が抱える困難と正しい支援

適応障害のサポート方法と治療法

編集部

適応障害になった場合、まずはどのような対処が必要ですか?

岩谷先生

最も重要なのは、ストレスとなっている状況から距離を取ることです。休職や配置転換などで一度環境から離れ、心身が緊張状態から回復する時間を確保しましょう。その上で、何がストレス要因だったのかを丁寧に見極めて「どんな対策が立てられるか」を考える――これが治療の本質です。

編集部

薬物を使った治療を行うこともありますか?

岩谷先生

薬物療法はあくまでも補助で、抗不安薬の頓服に加え、緊張のベースラインを下げる薬(SSRIや抗うつ薬など)、認知機能を向上させる薬(非定型抗精神病薬など)を状況に応じて使います。最終的には、環境へのアプローチと認知的理解の向上が回復の鍵になります。

編集部

“認知的理解の向上”のため、具体的にどのようなことをするのでしょうか?

岩谷先生

多くの臨床の現場で行われるのが、認知行動療法です。一般に、認知行動療法は「オールオアナッシング」「べき思考」「心の深読み」といった認知のゆがみを修正する療法といわれます。実際には、これらのゆがみは適応障害と関わりが深く、本人の特性を理解しながら治療を進めていきます。認知の偏りを修正することでメタ認知の力が向上し、「仕事の本質は何か」「上司は何を求めているのか」といったポイントを正しく捉えられるようになります。

編集部

ほかに、どのような治療が行われるのですか?

岩谷先生

アサーション(適切な自己表現)ですね。これを学ぶことで誤解が少なく自分の考えを上手に伝えられ、ストレスを軽減することができます。また、優位性志向(他人からの評価を求める気質)が強い人は、自己愛性パーソナリティの傾向と関わるケースもあり、人間関係のストレスを抱えやすくなります。該当者には関連の書籍を薦め、自分でマネジメントする能力を身に付けることをサポートします。あと大事なのは、上司をマネジメントするスキルを身に付けることです。認知特性の偏りがあると、上司の意図が本人へ届かず、双方がイライラを募らせパワハラ問題に発展してしまうこともあります。しかし、自分の特性を上司に理解してもらえると、上司も「できないことを要求しない」という調整が可能になり、自分に向いている業務をアサインしてくれるかもしれません。こうした“上司を上手に扱うスキル”は、環境への適応を高め、再発を防ぐための重要なセルフマネジメントになります。

編集部

マネジメント能力を身に付けることも大事なのですね。

岩谷先生

はい。適応障害は、認知の偏りや気質によるところが多いので、マネジメントスキルを身に付けなければ再発しやすくなってしまいます。精神科の医師や産業医は、そうしたストラテジー(長期的な方針・戦略)を一緒に考えてくれる、頼もしい存在です。困っていることがあれば、いつでも遠慮なく医師に相談してほしいと思います。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

岩谷先生

適応障害の治療では、環境調整だけでなく「自分自身の特性を正しく理解すること」が欠かせません。そのためには、本人の認知傾向やパーソナリティを丁寧に分析する必要があります。近年はFFS(5つの因子とストレス値で定量化する性格・ストレス分析ツール)やSPI(適性検査)のような診断ツールが注目されがちですが、それだけで「性格が完全に分かる」と考えるのは誤解です。部下や同僚に「適応障害の人がいる」という場合には、ぜひ疾患への理解を深め、適切なサポートをしてあげてほしいと思います。

編集部まとめ

適応障害の改善には、本人の特性を丁寧に理解し、それを踏まえたマネジメントが欠かせません。FFSやSPIはあくまで参考情報であり、特性を深くつかむには専門家の説明や書籍・動画での学習が効果的です。多角的に本人を知ることが、症状改善のための確かな礎になるでしょう。

配信元: Medical DOC

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