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「あの時誘いにのらなければ」こんなの望んだ未来じゃなかった...「港区女子」の栄光と影【著者インタビュー】

「あの時誘いにのらなければ」こんなの望んだ未来じゃなかった...「港区女子」の栄光と影【著者インタビュー】

東京に憧れ、夢を抱いて上京した一人の女の子。でも現実はあまりに厳しくて...。『人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』(KADOKAWA)は、「ギャラ飲み」で成功し、「港区女子」になった平凡な女の子・美春の成り上がりと転落を赤裸々に描いたセミフィクションです。美春に過去の自分を重ね合わせて描いたという著者・うみの韻花さんは、この作品にどんな思いを込めたのでしょうか。

『人生もっとうまくやれたのに 港区女子の絶望と幸せ』あらすじ
主人公の美春は、東京での華やかな暮らしに憧れて上京した素朴な女の子。
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家族の反対を押し切って有名大学の受験を決め、幸運にも合格。希望に満ちた春を迎えていました。
しかし、入学したのはいいものの、美春を実際に待っていたのは、キラキラとした毎日ではなく、生活費を稼ぐためのバイトに忙しい日々。
大学で出会った裕福な同級生・桜子との経済格差に打ちのめされ、「もっとお金があれば」と不公平感を抱くようになります。
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そんな状況を変えるため、美春は大学のミスコンに出場することに。
あかぬけるためのメイクを研究し、SNSでの発信にも力を入れた結果、美春は見事準グランプリを獲得しました。
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その授賞式で出会ったインフルエンサーの乃愛から、美春は「ギャラ飲み」の存在を教えてもらいます。
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乃愛いわく、彼女がしているギャラ飲みはアプリを通じて行うため、危ない目に遭うようなこともなく、飲み会に参加したり男性とご飯を食べたりするだけで多額のお金がもらえるそう。これまでのバイトに明け暮れる生活に辟易していた美春は、少しでも生活が楽になるのなら、とギャラ飲みに挑戦することにしました。
はじめての仕事は、知らない人と会うことに緊張しながらも、食事をしてお酒を飲んで約4時間で終了。
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そうやって手にした2万円近い額は、時給1,200円の居酒屋で働いていた美春にとっては驚きの額でした。楽して稼げることに味をしめた美春は、どんどんギャラ飲みにのめり込んでいきます。

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そこは若くて美しい女性が優遇される世界でした。
有名大学に在籍し、ミスコンでも準グランプリを獲った美春を、男性はチヤホヤしてきます。そんな環境にも、「私が人気なのは、魅力があるから」と美春はさほど違和感を抱きません。
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とある日の飲み会で、見た目の地味な女性が、そのことを理由に帰されるのを見ても、美春は「場違いならしょうがないよね」としか思わなくなっていました。
金銭感覚も、以前の美春とはかけ離れたものになっていました。住まいは港区に引っ越し、高い化粧品を買うようになり、食事もデリバリーで済ませます。節約を重ねていた以前の美春からしたら、信じられないような生活になりました。
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いつしか美春は、「港区女子」として輝く自分に酔いしれ、ほかの子より魅力的な自分に価値を見いだしていたのです。
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そんな生活を続けた彼女は、大学を卒業してもギャラ飲みを続け、気づけば25歳になろうとしていました。
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この仕事に誘ってくれた乃愛は、25歳を機に「港区女子」を辞め、結婚するかもしれないと話します。
「一緒に卒業しよう」
そう誘う乃愛に対し、美春は「私 続けるから」と宣言するのでした...。


著者・うみの韻花さんインタビュー
――主人公・美春は、地方都市から華やかな都会に憧れて上京してきた女性です。彼女のキャラクターは、どのようにして生まれたのでしょうか?
うみのさん:主人公の美春は、私自身をモデルに作ったキャラクターです。 広島の田舎で育ち、東京のきらびやかな世界に憧れて経済力もないまま上京し、夜の仕事を通して都会に染まり、散財したり承認欲求が強くなったりしていく...。これはまさに私が経験してきたことです。境遇が完全に一致するわけではありませんが、彼女はもう一人の、存在したかもしれない私と言っても過言ではありません。
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――うみのさんは大学を中退して20歳のときに上京、役者を目指しながら生活費を稼ぐために夜職も経験されたとあとがきにありました。そうしたご自身の人生経験が、この作品に反映されている部分はあるのでしょうか。
うみのさん:そうですね。港区女子ではなかったものの、この作品をよりリアルに描くことができたのは、私自身の夜職の経験もあったからこそだと思ってます。夢を追い求めて上京したのに、お金がなくて稼ぎ出すも、本当にやりたかった役者活動も思ったように花咲かず、気づいたら夜職ばかりで、そこで自分の価値を見いだすようになっていって...そういった人生の一部がこの作品に大きく反映されています。
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――うみのさんご自身もこれまで全身整形に700万円以上を費やした経験をお持ちだそうですが、「若さ」と「美しさ」によって市場価値が決まる...という価値観に対して、どんな考えをお持ちですか?
うみのさん:「若さと美しさ」によって自分の価値が決まる...年々加速していくルッキズムと繋がるものがあると思うのですが、「若さや美しさ」なんて永遠じゃないし、どれだけ大金をかけて美容施術やアンチエイジングをしても本物の若さには勝てないし、必然的に自分の価値が下がっていくので、残酷だなと思います。
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若さと美しさという、うつろいやすいものに依存した生き方の危うさを提示する本作。「もっとお金がほしい」「キレイになりたい」という、若い女性なら誰もが共感し得る願いは、美春を一体どこへ導くのでしょうか。
取材・文=山上由利子

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