
新年の高揚感が漂う喫茶店の店先。並べられた福袋を前に、見知らぬおばあさんから「これ、中身は何が入ってるのかしら?」と尋ねられる――。
キヨ(@shyoushin_mono)さんが2025年1月にSNSで公開した短編漫画『福袋の中身が気になる』が、読者の心をほっこりとさせている。20年前、ある日常系4コマ漫画に癒やされたことをきっかけに創作を始めたキヨさん。自身の何気ない日記を原点に、誰もが一度は経験したことのある「日常の小さなズレ」を、優しくコミカルな筆致で描き続けている。
■「一緒に確認すればよかった」。見知らぬ誰かとの、一瞬の交差がくれる余韻



作品の舞台は、実生活で起きたワンシーンだ。店員ではない自分に中身を尋ねるおばあさんの行動に、「不思議でおもしろかった」と振り返るキヨさん。
「でも、改めて尋ねられると、私まで中身が気になってしまって(笑)。自宅に帰ってから、おばあさんと一緒に福袋の中身を確認すればよかったかな、なんて少し後悔したくらいです」
一期一会のやり取りの中に生まれる、温かな好奇心。そんな小さな心の揺れを逃さず形にすることが、キヨさんの作品の大きな魅力となっている。
■「米不足は餅で乗り切る」。令和の米騒動で見えた、たくましくも可笑しい日常
キヨさんの漫画の源泉は、日々のストックされたエピソードにある。2024年に起きた「令和の米騒動」の際も、その生活感あふれる対応が、読者の共感を呼んだ。
「米の代わりに、大好きなきな粉餅を食べていました。全く飽きることはなかったですね。でも、開店前のスーパーに並んで、他のお客さんが米売り場へ走る姿を見たときは、『本当に米不足なんだな』と身に染みて実感しました」
そんな「大変だけど、どこか可笑しい」出来事さえも、キヨさんの手にかかれば、クスリと笑える癒やしのエピソードへと昇華される。
■「次は体験型福袋を漫画に」。創作の原動力は読者とのつながり
今後は、自分では選ばないようなアクティビティを体験できる「体験型福袋」にも挑戦し、漫画の題材にしたいと意欲を見せるキヨさん。
「読者の方からの『面白かった』というコメントが、何よりの原動力です。これからも身の回りで起きた日常を、たくさん形にしていきたいです」
特別な事件は起きないけれど、読むと少しだけ世界が優しく見える。キヨさんの描く物語は、忙しい毎日に「深呼吸」を届けてくれる、まさに心の福袋のような存在だ。
取材協力:キヨ(@shyoushin_mono)
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

