「メディアは警視庁広報部だ」「記者クラブは解体を」人質司法と事件報道への不信、遺族が集会で訴え

「メディアは警視庁広報部だ」「記者クラブは解体を」人質司法と事件報道への不信、遺族が集会で訴え

東京五輪の汚職事件をめぐって逮捕、起訴された出版大手「KADOKAWA」元会長の角川歴彦さんとその代理人らが10月3日、都内で「人質司法を無くすためにメディアができること」と題した集会を開き、捜査当局の情報に偏った事件報道のあり方を批判した。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

●「予定調和」の報道を批判

角川さんは、長期間の拘束で自白を迫る「人質司法」の問題を問うため、国家賠償訴訟を起こしており、この日、東京地裁で第4回口頭弁論が開かれた。自身の逮捕時を振り返り「(報道は)最初から予定調和」と批判した。

違法な捜査により冤罪が生じた「大川原化工機事件」で、無実を知らぬまま亡くなった元顧問の相嶋静夫さんの長男も出席。

相嶋さんが逮捕されたときに、マスコミの記者が取材に来ていたことに触れて「なんでメディアがいるのか、父を特定できているのかと思いました。そのとき『警視庁広報部』なんだなというのが率直な感想でした」と話した。

一方、事件を通じて記者に支えられたことを紹介しつつ、組織としての報道姿勢に疑問を持つケースがあったという。「記者クラブの構造はわからないが、廃止したほうが警察にとって大きなダメージになるのではないか」と述べた。

●犯罪報道が裁判官に与える影響

角川さんが起こしている国賠訴訟の代理人の一人、弘中惇一郎弁護士は、過去に担当した「ロス疑惑」やカルロス・ゴーン氏の事件報道を引き合いに「捜査段階ではまだ何もわかっていないので、メディアには読者が喜びそうなことに加担することは慎重になってほしい」と呼びかけた。

また、元裁判官の村山浩昭弁護士は「裁判官も普通の市民なので、テレビも見れば新聞も読む。犯罪報道は普通の市民のようにみている」としたうえで、「(裁判官として)外部情報は排除しようと思っているが、最初に情報を浴びてしまっているのは事実で、影響がないとは言い切れない」と話した。

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