洋食屋を営む宇美さんと夫の空さん。ある日、大学時代の友人・杏さんが来店したことで夫婦関係に変化が現れます。
実は宇美さんと空さんはワケアリ夫婦。5年前、宇美さんは親友である杏さんの婚約者だった空さんを略奪し、結婚しました。
ふたりを許せない杏さんは、5年越しの復讐を決行! 空さんに「宇美が浮気をしている」と密告しました。
それを聞いた空さんは、多額の借金をしてまで調査会社に依頼し、宇美さんがホテルへ出入りする証拠を掴みます。しかしその「浮気」は、経営が厳しい洋食屋を支えるための副業でした。
そう伝えても、空さんは聞く耳を持ちません。かつての婚約者・杏さんとの復縁という淡い幻想を抱いたまま、空さんは離婚を言い渡し、家を飛び出していったのです。
しかし、慰謝料をあてにし借金をした調査費用が回収できないことが判明! 空さんは多額の借金を抱えることになりました。
仕事も住まいも失った空さんは杏さんにすがろうと愛のメッセージを送り続けますが、1カ月経っても返信がありません。
40日後、ようやく届いた返信は「結婚して海外へ行く。連絡は迷惑」という拒絶と、「くたばれクズ」という憎しみのこもった言葉だったのです。
都合のいい愛の復活


















どん底に叩き落とされ、逃げ場を失った空さん。追い詰められた彼の脳裏をよぎったのは、自分が離婚を突きつけた妻・宇美さんでした。
宇美さんもまた杏の復讐によってホテルへの出入りを暴露され、すべてを失う苦しみを味わっていました。自分と同じように杏の標的にされ、同じ地獄を見た、その共通点を見つけた瞬間、空の中で歪んだ親近感が芽生えます。
空さんはあろうことか、あれほど執着していた杏さんを悪者に仕立て上げることで自分を正当化。一度は捨てたはずの妻のもとへ、救いを求めて戻ろうとしたのです。
◇◇◇
一度壊した信頼は、自分が困ったからといって修復できるほど軽いものではありません。日々の平穏や、隣にいる人のサポートに慣れきってしまうのではなく、身近な人にこそ常に最大の誠意を持って向き合い続けることが大切ではないでしょうか。
一番近くにいる人ほど、誰よりも大切にする——当たり前すぎてつい忘れがちなこの誠実さを、今一度、心に刻んでおきたいものです。
著者:マンガ家・イラストレーター 土井真希

