膵臓がんになりやすくなる「主要な危険因子」は何かご存じですか?医師が解説!

膵臓がんになりやすくなる「主要な危険因子」は何かご存じですか?医師が解説!

膵臓がんの発症には喫煙、過度の飲酒、食生活の内容、肥満などの生活習慣要因が大きく関与しています。タバコに含まれる発がん性物質や高脂肪食品の摂取過多は膵臓がんのリスクを高める一方、野菜や果物を豊富に含む食事は予防効果が期待されます。これらの危険因子を理解し、生活習慣を見直すことが予防と早期発見につながります。

高木 大歩

監修医師:
高木 大歩(医師)

【経歴】
2021年、杏林大学医学部医学科卒業。
慶應義塾大学病院で初期研修を修了後、川崎市立川崎病院 総合内科、北里研究所病院 消化器内科を経て2025年より慶應義塾大学病院 消化器内科に勤務。

【所属学会】
日本内科学会/日本消化器病学会/日本消化器内視鏡学会/日本肝臓学会

膵臓がんの主要な危険因子と生活習慣

膵臓がんの発症には複数の要因が関与しており、これらの危険因子を理解することで予防や早期発見につなげることができます。

喫煙とアルコールの影響

喫煙は膵臓がんの重要な危険因子の一つです。タバコに含まれる発がん性物質が血流を通じて膵臓に到達し、正常な細胞のDNAに損傷を与えることで、がんの発症リスクを高めます。喫煙者の膵臓がんリスクは非喫煙者の約2倍から3倍高いとされています。
受動喫煙も膵臓がんのリスク要因として考えられています。家庭や職場で長期間にわたって受動喫煙にさらされることで、リスクが上昇する可能性があります。禁煙することで、このリスクは時間とともに低下していくため、できるだけ早い段階での禁煙が推奨されます。
過度のアルコール摂取も膵臓がんのリスクを高める要因の一つです。アルコールは膵臓に直接的な毒性を持ち、慢性膵炎を引き起こすことがあります。慢性膵炎は膵臓がんの前がん状態とも考えられており、長期間の大量飲酒は避けることが重要です。

食生活と肥満の関係

食生活の内容は膵臓がんのリスクに大きな影響を与えます。特に高脂肪食品の摂取過多は、膵臓がんのリスクを高める可能性があります。動物性脂肪を多く含む食品や加工肉の過度な摂取は、膵臓への負担を増加させることが知られています。
一方で、野菜や果物を豊富に含む食事は、膵臓がんのリスクを低下させる可能性があります。特にビタミンCやビタミンE、カロテノイドなどの抗酸化物質を多く含む食品は、細胞の酸化ストレスを軽減し、がんの発症を予防する効果が期待されます。
肥満も膵臓がんの重要な危険因子です。特に腹部肥満は膵臓がんのリスクを著しく高めることが知られています。適切な体重管理と定期的な運動習慣は、膵臓がんの予防において重要な役割を果たします。BMI(体格指数)を適正範囲に維持することが推奨されます。

まとめ

喫煙は膵臓がんリスクを2〜3倍高め、過度の飲酒や高脂肪食品の摂取も危険因子となります。一方、野菜や果物に含まれる抗酸化物質は予防効果が期待されます。適切な体重管理と禁煙・節酒により、これらのリスクは軽減できるため、日頃からの生活習慣の改善が膵臓がんの予防において重要な役割を果たします。

参考文献

膵臓がん(国立がん研究センター がん情報サービス)

がん対策推進基本計画(厚生労働省)

配信元: Medical DOC

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