「夢を追うことに年齢は関係ない」豆原一成(JO1)主演、映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』

「夢を追うことに年齢は関係ない」豆原一成(JO1)主演、映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』

グローバルボーイズグループ・JO1のメンバーとして活躍しながら、舞台や映像作品を通じて役者としてのキャリアを積み上げてきた豆原一成さん。その新たな一歩となったのが、市毛良枝さんとW主演を務める映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』だ。2025年10月24日(金)に全国で公開、11月6日(木)には小説版が刊行される。


 


そこで彼が見せたのは、アイドルという枠を飛び越え、ひとりの表現者として挑む姿。その先に見えた“葛藤と成長”とは?

祖母と孫、その微妙な距離感を探りながら……

本作は、祖母・文子と孫・拓磨の絆を軸に、ささやかな日常に人生の愛おしさを見つける物語。その世界を小説としても楽しめるノベライズ版は、主演二人などの登場シーンを厳選した巻頭カラー16ページ付き。映画の余韻が手元に残るのはもちろん、豆原さんファンにも嬉しい仕様となっている。


 


大学生の拓磨(豆原一成)は、シングルマザーの母・綾(酒井美紀)が海外出張で日本を離れている間、祖母・文子(市毛良枝)の家で暮らすことになった。文子は、最愛の夫・偉志(長塚京三)を亡くしたばかり。そんな偉志の温もりが残る家で、文子と暮らし始めたその日。拓磨は、生前のままになっていた偉志の書斎で、自分が通っている大学の入学案内を見つける。なんとそれは祖父が生前に文子へ贈ったサプライズだった。思いがけず背中を押された文子は、後ろ向きな気持ちを振り払い、若い頃の夢だった“大学生”としての毎日を謳歌しはじめる。一方の拓磨は、自分の夢に自信が持てず、将来への不安を抱えていた。


 


そんな二人は、富士山を愛した偉志の手帳に記された不思議な数式をきっかけに、互いの思いを重ねながら“好きを追うこと”、そして“人を愛すること”の尊さに導かれていく——。


 


 

そんな作品の主演としてオファーを受けたとき、豆原さんが抱いたのは、不安とプレッシャー、そして大きな決意だった。


 


「正直なところ、『僕でいいのかな』という不安はありました。共演するのは、市毛さんをはじめ名だたる大先輩の方々。ものすごくプレッシャーを感じたと同時に、こんなチャンスはもうないかもしれないと思い、すぐに『やります!』とお返事しました。市毛さんの孫役として芝居ができるなんてとても光栄なことですし、何より自分の経験としても本当にありがたいことだなと」


 


 

重いプレッシャーを乗り越え挑んだ現場で、豆原さんを待っていたのは「“自然体”を演じることの難しさ」だった。役者なら誰もが直面する課題だが、豆原さん演じる拓磨は、強いキャラクター性を持つ人物ではなく、どこにでもいそうないわゆる普通の大学生。より自然体であることが求められたという。


 


「はじめて脚本を読んだとき、『実在する誰かの人生の一部を切り取ったようだな』と思いました。夢や家族との関係といった、誰しもが人生で向き合うテーマを扱う作品だからこそ、“自然”を演じることの難しさを実感しました。監督からも『それは自然じゃないな』と言われることも多くて……。この作品には、始まりもなければ、終わりもない。あるのは、ただの日常。そのため“自然に見せること”が自分の中で大きなテーマになり、悩みながらも挑んだ部分でした」


 


また、祖母と孫の距離感をどう表現するかも、大きな課題のひとつだった。豆原さん自身、幼い頃から“おばあちゃん子”として育った。それゆえ、同居をはじめた当初の拓磨と文子のぎこちない関係性、その二人の距離感をどう表現すればいいのか。模索しながら役に臨んだそう。


 


「拓磨と文子は、最初は少し気まずい空気感があって。その“距離感”をどう作っていくのが正解なのか、すごく考えました。だんだん仲良くなっていくにつれて、話し方や接し方も自然に変わっていく。その変化をどう見せるかに重点を置いて演じました」


 


豆原さんが幼い頃、共働きの両親に代わって日常を支えてくれていたのは祖母だった。朝は幼稚園の送り迎えをしてもらい、両親が帰宅するまで祖母の家で過ごす——そんな日常が当たり前にあった。


 


「僕にとって祖母はとても大きな存在。おばあちゃん孝行じゃないですけど、自分が演じた作品を祖母に観てもらえるというのは、本当にうれしいことですね」

「普通の大学生」拓磨に重ねる、自分自身の姿

豆原さんから見た拓磨は、ごく普通の大学生でありながらも、そのひたむきさや不器用さに魅力がある人物だと語る。


 


「拓磨はとても素直な子。自分の弱さもちゃんと分かっていて、できないことに少しもどかしさや寂しさを抱えながらも、彼なりに一生懸命前に進もうとしている。そんな姿が素敵だなとも思う反面、もっと自信を持って欲しい、とも感じます」


 


コーヒーショップでアルバイトをしながら、いつかは自分の店を持ちたいと夢見る拓磨。しかし現実にはなかなか踏み出せず、もがく姿が描かれている。その姿に、豆原さん自身も重なる部分があるという。


 


「僕は田舎育ちだったこともあって、『アーティストになりたい』なんて言うと、いつも周りから『無理だろう』と言われていました。母も『大学に行って、ちゃんと就職しなさい』というタイプの人でしたから。だから、やりたいことがあっても経済的なことや親との問題など、いろんな理由で踏み出せない拓磨の気持ちはよくわかりますし、そういう人ってたくさんいると思うんですよね」


 


劇中でコーヒーに夢中になる拓磨に対し、豆原さんにとって“夢中になれるもの”。それは、体づくりだ。多忙な日々のなかでも、ジムに通うことは欠かせない習慣になっている。


 


「体づくりがすごく楽しくて、パーソナルのほかに、ほぼ毎日のようにジムに通っています。食事も気をつけていますし、それが苦というより好きなんです。トレーニング中は、拓磨にとってのコーヒーを淹れている時間みたいに、いろんなことを忘れられるんですよね」

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