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「生食」は本当に犬に必要?科学的に見た「メリット・デメリット」を獣医が徹底比較

「生食」は本当に犬に必要?科学的に見た「メリット・デメリット」を獣医が徹底比較

生食のデメリット|「自然」に潜む危険性も知っておこう

診察台の上でうなだれている犬

生食には魅力だけでなく、明確なリスクも存在します。最も大きな懸念の一つは、食材に含まれる病原菌や寄生虫です。例えば、サルモネラ菌やカンピロバクターなどの細菌は、加熱せずに肉を与えることで犬の体内に入り込み、まれに食中毒を引き起こすことがあります。さらに、これらの菌は調理中に人間へも感染する可能性があるため、特に小さな子どもや高齢者がいる家庭では注意が必要です。

また、冷凍保存や流水洗浄によって取り除けない寄生虫が潜んでいることもあります。特に牛肉や鶏肉では、ネオスポラやトキソプラズマなどが検出されることもあり、免疫力の低い犬や成長期の子犬に与えるには慎重な判断が求められます。

栄養バランスの崩れも深刻な問題です。とくに子犬や大型犬の成長期では、カルシウムとリンの比率が適切でないと、骨の発育に異常が生じ、変形や軟化が起こる可能性があります。肉のみに偏った食事ではリンが過剰になりがちであり、カルシウム不足を引き起こします。必要に応じて、炭酸カルシウムなどを加えて補正する必要があります。

また、ビタミンAやE、セレンの欠乏は、特にオス犬の精子の質や、メス犬の発情周期、妊娠の継続に影響を与えることがあります。たとえば、首回りの肉や内臓には甲状腺ホルモンが多く含まれており、過剰に摂取すると甲状腺機能亢進症(いわゆる“バセドウ病”に類似した状態)を引き起こすことが報告されています。この状態になると、体重減少や興奮、呼吸の速まり、食欲増進などの症状が現れることがあり、メス犬の場合は発情周期が停止してしまうこともあります。

さらに、骨を含んだ食事では、硬すぎる骨が歯を折ったり、腸に刺さって穿孔を引き起こしたりするリスクもあります。安全性を考慮するならば、柔らかく加工した骨や適切な補助サプリの活用が求められる場面もあるでしょう。

まとめ

食器からフードを食べている犬

犬の健康を支えるうえで、生食は魅力的な選択肢の一つとなり得ます。しかし、その効果を安全に引き出すには、正しい知識と専門家の助言が不可欠です。

自然であることと、健康に良いことは必ずしも同義ではありません。生食を検討する際は、愛犬にとって本当に必要な栄養が何かを見極め、信頼できる情報源とともに慎重に取り入れていくことが大切です。

参考文献:Główny D et al, Pol J Vet Sci. 2024 Mar 20;27(1):151-159.

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