
■“ディスティラリー”って何?ウイスキーやジンが生まれる現場を見学できるツアー
「DISTILLERY(ディスティラリー)」とは、日本語で「蒸留所」を意味する。日本酒なら酒蔵、ビールなら醸造所、ワインならワイナリーといったように、ウイスキーやジン、焼酎といった「蒸留酒」を専門に造る施設のことを「ディスティラリー」という。広島県廿日市市、瀬戸内の穏やかな海がすぐ目の前に広がる地に建つ「SAKURAO DISTILLERY」では、モルトウイスキー、グレーンウイスキー、そしてジンの製造工程を間近で見学できる。広島県産の厳選された原料や特注の蒸留器、静かな貯蔵庫で刻を待つ熟成の様子を見学し、ツアーの最後にはウイスキーやジンのテイスティングが付いた、約90分の大満足なコースだ。

■海を望む絶景ロケーション!100年の歴史が息づく「創業の地」へ
アクセスはJR廿日市駅から徒歩約10分。潮の香りに誘われて歩を進めると、モダンな佇まいの「ビジターセンター」が見えてくる。ここではお酒や限定グッズを購入できるほか、ツアー後のお楽しみである試飲コーナーも併設されている。蒸留所はその裏手に広がっており、ツアーはここからスタートする。ガイドさんの案内のもと、いよいよ未知なる蒸留酒の世界へと足を踏み入れる。

■清酒から世界を醸すウイスキーまで。老舗が挑む「100年目の革新」
「サクラオブルワリーアンドディスティラリー」は、1918年に「中国醸造」としてこの地で創業した老舗の酒造会社。長年にわたり清酒や焼酎、リキュールなどを製造し、広島の酒造文化を支えてきた。創業100年を迎え、新たな挑戦としてジンやウイスキーの蒸留を開始。2018年に広島県産の原料にこだわった純国産ジンを、さらに2021年にはシングルモルトウイスキー「桜尾」「戸河内」をそれぞれリリースした。さらに、社名を現在の「サクラオブルワリーアンドディスティラリー」へと変更。100年を超える歴史を持ちながら、常に新しいブランドを生み出し続けるエネルギッシュな酒造会社なのだ。

■「海」と「山」、広島の自然が育む2つのシングルモルトと広島の自然から生まれたジン
「サクラオブルワリーアンドディスティラリー」といえば、シングルモルトウイスキーの「桜尾」と「戸河内」、そして「SAKURAO GIN」である。
シングルモルトとは、単一の蒸留所で造られた原酒のみを使用したウイスキーのこと。他所の酒を混ぜないため、その土地の風土がダイレクトに反映される。同社では、潮風が届く温かな「桜尾」と、かつての鉄道トンネルを活用した山奥の冷涼な「戸河内(安芸太田町)」という、環境の異なる2つの貯蔵庫を使い分けて熟成を行っている。この気温差が、独自の複雑な味わいを醸成するのだ。

また、広島産の柑橘や牡蠣の殻、宮島のハマゴウなどを使用した「SAKURAO GIN」は、国際的なコンペティションで最高賞を受賞するなど、すでに世界基準の評価を確立している。

■銅色に輝く蒸留器と、広島の恵みを凝縮した「ボタニカル」からツアーがスタート
最初に向かうのは、ジンとモルトウイスキーの蒸留器と原材料を展示している建物だ。ここでは、「SAKURAO GIN」が生まれる現場を見学できる。銅色の輝きを放つ特注のオリジナル蒸留器で、刻一刻とジンが蒸留されていく。タイミングが合えば、スタッフが作業にあたる様子を間近に見ることができる。


ガイドさんの説明で興味深いのは、その原材料の多様さだ。スペアミントやラベンダーといったハーブ類から、広島らしい柑橘の「不知火」、さらには宮島の砂浜に咲く「ハマゴウ」の花まで。これら地元の素材が、あの華やかな香りの源となっている。


■穀物の甘い香りに包まれて。グレーンウイスキーが生まれる瞬間
続いてはグレーンウイスキーの製造エリアへ。穀物を意味する「グレーン」の名のとおり、トウモロコシ、小麦、ライ麦などの穀物を主原料とするウイスキーをグレーンウイスキーと呼ぶ。「サクラオブルワリーアンドディスティラリー」では国産大麦を主原料としている。

細かく砕かれた原料は、麦芽の酵素によって糖化され、発酵タンクへ。ここで4日間かけてじっくりと発酵させることで、アルコール度数約10%の「もろみ」が完成する。建物内に漂う、独特の甘く芳醇な香りは工場見学ならではの醍醐味だ。
■ニューメイクの誕生!特注蒸留器からウイスキーの原酒が生まれる
発酵を終えた液体は、次のエリアで蒸留の工程に入る。ここでも特注の蒸留器が活躍し、不純物を取り除きながらアルコール濃度を高めていく。こうして誕生したばかりの透明な原酒は「ニューメイク」と呼ばれる。このニューメイクがバーボンやシェリー酒の空樽の中で長い眠りにつくことで、あの美しい琥珀色のウイスキーへと変化していくのだ。


■静寂の中に浮かぶ樽の列。幻想的な演出で彩られた貯蔵庫
ツアーのハイライトの一つが、敷地内にある貯蔵庫の見学だ。一歩足を踏み入れると、そこは外界とは切り離された、暗く静謐な空間。この貯蔵庫では、シングルモルトウイスキーの「桜尾」がじっくりと熟成されている。

■ツアーのあとのお楽しみ!グラスを片手に、自分好みの一杯を見つける試飲体験
ツアーの締めくくりは、お待ちかねの試飲タイム。ビジターセンター奥に設けられたスタイリッシュなスペースで、オリジナルのグラスを受け取る。ずらりと並んだ銘柄から、好きなものを3種選んで試すことができる。グラスは記念に持ち帰りOK。
まずはストレートで、香りをじっくり楽しみながら一口。舌先に感じる深いコクと風味を味わってほしい。アルコール度数が高いので、苦手な人は無理せず、氷や水、炭酸水などで自由にアレンジしながらいただこう。今回ってきた蒸留所、貯蔵庫、そしてガイドさんの解説を思い出しながら味わう一杯は、まさに格別の体験だ。

ビジターセンターでは「サクラオブルワリーアンドディスティラリー」の商品を購入することができる。お気に入りの一杯を見つけたら、ぜひ旅の思い出に。


SAKURAO DISTILLERY TOUR / サクラオブルワリーアンドディスティラリーツアー
開催時刻:日本語10時30分~、15時~/英語(English)14時~ ※すべてのツアーで、ガイダンスルームの動画やガイドパネルは英語字幕付き※ツアーは予約制。Web予約フォームから要事前予約
所要時間:約90分
定員:12名
対象:20歳以上※20歳未満、子ども連れでの参加は不可
休み:第2日曜日・お盆・年末年始・臨時休業日
料金:2000円
SAKURAO DISTILLERY サクラオブルワリーアンドディスティラリー
住所:広島県廿日市市桜尾1-12-1
電話:0829-32-2111
時間:10:00〜17:00(直営店ビジターセンター)
休み:第2日曜日、お盆、年末年始、臨時休業日
駐車場:あり
まさに広島の風土を五感で味わうひととき。伝統を重んじつつ、瀬戸内の潮風や緑豊かな山々の恵みを新しいカタチで表現し続ける「サクラオブルワリーアンドディスティラリー」。造り手のこだわりを五感で堪能できるこの場所で、お気に入りの一杯を見つけてみてはいかがだろうか。大人の知的好奇心と喉を潤す旅へ、ぜひ足を運んでほしい。
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※20歳未満の者の飲酒は法律で禁じられています。

