つい愚痴ると
幸いにもパート先はすぐに見つかりましたが、給料日の関係でまとまったお金が手に入るのは2ヶ月先ということが分かりました。
その間も夫の会社から手当が出ますが、足りない分は貯蓄を切り崩す必要があります。
「不足分を貯蓄から出すのは、正直痛いな……」
そう思っていた矢先、偶然にもA子から電話がありました。
張り詰めていた糸が切れたのか、私はつい、今の切迫した状況を堰を切ったようにA子に話してしまったのです。
「大変だね」
そう言ってA子は、静かに話を聞いてくれました。
「そうなのよ。お給料をもらえるまでまだ日にちがあるし、どう工面しようか悩んでいて」
つい深刻なトーンで愚痴ると、突然A子は黙りこみました。
不思議に思った私が「どうかした?」と尋ねると、次の瞬間A子は焦った声でこう答えたのです。
「ごめん! 私はただの主婦だから、金銭面であなたの力にはなれない!」
そう言うと、A子はブチっと電話を切ってしまいました。
話題は慎重に
私としては、何でも話してきたA子にいつも通り愚痴を言っただけのつもりでした。
しかし、切実すぎる悩みは、聞く側からすれば「お金を貸してほしい」という無心のように聞こえてしまったのかもしれません。
A子は「自分の家庭を守らなければ」と防衛本能が働いたのでしょうし、それは友人として当然の反応だったのだと今は理解できます。
この電話以降、私もA子に余計な不安を抱かせないためにも連絡は控えるようになりました。
今は目の前の仕事に集中し、まずは自分の足で生活を立て直すことが先決だと思っています。
状況が困難であればあるほど、“打ち明け話”は相手にとっても負担になる。
親しい相手でも、話題選びは慎重にしなければいけない──それを学んだ出来事でした。
【体験者:40代・女性パート従業員、回答時期:2026年3月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Junko.A
子育てに奮闘しながら、フリーランスのライターとして活躍中。地方移住や結婚、スナックの仕事、そして3人の子育てと、さまざまな経験を通じて得た知見をライティングに活かしている。文章を書くことがもともと好きで、3人目の子どもを出産後に、ライターの仕事をスタート。自身の体験談や家族、ママ友からのエピソードを元に、姑に関するテーマを得意としている。また、フリーランスを目指す方へ向けた情報ブログを運営中。

