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憧れは『るきさん』。初めてのトークセッション登壇で考えた“余白への思い”|梅津奏

憧れは『るきさん』。初めてのトークセッション登壇で考えた“余白への思い”|梅津奏

国際女性デーに合わせて開催されたWEHealthにて。ご一緒したのは俳優の酒井美紀さんとコラムニスト・人物インタビュアーの芳麗さん

頑張る以外で自分を肯定するには?

先日、初めてトークイベントに登壇した。

昨年は地元の高校で講演をさせてもらう機会をいただいたが、イベントでのトークセッションは初めて。台本もほぼなく、その日はじめましての3人がその場でおしゃべりする形式だったのだけれど、予想以上に楽しかった。

トークテーマは、「「頑張る」以外の方法で、自分を肯定できますか?「休めない」と感じる違和感の正体」。

運営の方からお誘いのメッセージをいただいたとき、思わずドキリとしてしまった。私は体調不良で会社休む系のモーレツ会社員(新種だと自負している)だが、それでも「休まず頑張る」でしか自分を肯定できないと感じてきた期間は長い。

 

数年前にメンタルのバランスを崩した経験から、「全身全霊で頑張る」以外の方法を模索してきた。週に一度早帰りデーを作ってみる。朝型にしてみる、周囲の喧騒に溺れないように在宅勤務を取りいれる、週休2.5日チャレンジをする……。「これだ!」と喜んではうまくいかなくなって断念するという試行錯誤を、今でも懲りずに繰り返している。


結局一番効果的だったのは、副業をはじめたことで「会社の仕事だけがすべてではない」と思えたことだった。

こんなことを書くとロイヤリティが低いとか真剣に仕事に取り組んでいないとかお叱りを受けそうだが、実は逆。「会社がすべてではない」と感じられたことで、むしろ仕事のクオリティと集中力は上がった。私の場合、周囲からの評価を気にして右往左往し過ぎると、仕事に邪念が混ざる。正直、仕事が本当に楽しいなと感じられるようになったのは、執筆活動をはじめてからのことだ。


トークセッションでは、3人がそれぞれ「休めなかったあの頃」「そんな自分が変わったきっかけ」を話して大盛り上がり。職業も世代も違うのに、共感できるところが多くてびっくりの連続だった。

そして最後に、「“余白”って大切ですよね」という話に。

キャリアブレイクという言葉もあるが、一時的に仕事を離れる時間があったっていい。そこまで大がかりでなくても、日々の生活にちょっとした余白をしのばせることがどれだけ自分たちを豊かにするか……そんな話でセッションはしめくくられた。


朝、お守りのつもりでバッグに入れてきた本たちの中に、まさに「余白の達人」がいた。

朝、バッグに詰め込んできた本たち

『るきさん』(高野文子/ちくま文庫)

バブルまっさかりの時代にマガジンハウスの『Hanako』で連載されていたという漫画『るきさん』。ギラギラしていたであろう時代の影響をまったく受けず、マイペースにのんびり生きているるきさんは長らく私の憧れだ。

一か月分の仕事を一週間で終わらせてしまい、あとの時間は図書館に行ったり郵便局で記念切手を買ったり。ふんわりした雰囲気でおっとり見えるけれど、図書館で子どもを驚かしたり裸にレインコート着て出かけたり、かなり大胆な一面も。キャリアウーマンの友達・えっちゃんに呆れられながら、いつものんびりご機嫌に過ごしているるきさん。

るきさんの素敵なところはたくさんあるが、私が一番好きなのが「余白を楽しんでいるところ」。

仕事が一週間で終わるならもっと働いてお金を増やそう、とは考えない。残りの3週間はのんびり好き勝手に過ごす。図書館の談話室でお年寄りや子どもに交じってやきそばパン食べるのも恥ずかしくない。梅雨で洗濯が間に合わなくても、ブランドのセールをやっていても、無駄に服は買わない。レインコート着て料理したって、高校時代の静電気ぱちぱちセーター着たっていいじゃない。

るきさんは決して怠惰なわけではない。生活は規則正しくちゃんと自炊しているし、家の中もるきさんなりに整理整頓されている模様。そこが私と違うところで、私も仕事以外は余白ばかりの生活だけれどもその余白は怠惰に満ち溢れている。

 

トークセッションで「梅津さんの余白は?」と聞かれたとき、私は「予定の前の時間」と答えた。アポイントの時間より早く行って、近くの喫茶店で本を読むのが私のささやかな余白の喜び。今の私にはこれがせいぜいだけれども、いつかるきさんレベルの余白達人になりたいものだと思っている。

配信元: 幻冬舎plus

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