青木崇高、“静”と“動”を行き来する圧巻の振り幅 「時計館の殺人」でも際立つ演技力

青木崇高、“静”と“動”を行き来する圧巻の振り幅 「時計館の殺人」でも際立つ演技力

青木崇高
青木崇高 / ※ザテレビジョン撮影

大河ドラマ「龍馬伝」での後藤象二郎役や、実写映画『るろうに剣心』シリーズでの相楽左之助役など、さまざまな作品を通して強烈な印象を残してきた俳優・青木崇高。時代劇やアクションのみならず、動画配信サービス・Huluで全話独占配信中のミステリードラマ「時計館の殺人」でも重厚な演技を披露している。そこで本記事では、青木のこれまでの出演作を振り返りながら、俳優としての魅力に迫っていく。

■国内外で存在感を高める実力派俳優

185cmの長身にたくわえたひげで、どの作品に身を置いても、ひと際強い存在感を放つ青木。現在では映画やドラマに欠かせない実力派として確固たるポジションを築いているが、その芸能界入りは意外にも等身大の動機からだった。グラフィックの専門学校を卒業後、ビデオ店でアルバイトをしていた頃、「モデルはモテそう」という理由で事務所のオーディションを受けたことがきっかけだったという。

そして2002年に映画「マッスルヒート」で俳優デビューを果たした青木は、2007年にNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」に出演。本作で注目を集めた彼は、作品を通して落語や歌舞伎などに興味を持ち、“日本の文化や良さを発信できる人になりたい”と考えるようになる。

その後も、「龍馬伝」「平清盛」「西郷どん」「鎌倉殿の13人」とNHK大河ドラマに相次いで出演。時代劇の世界で重要な役どころを担い、俳優としての厚みを着実に増していった。

一方で活躍の場は時代劇にとどまらない。映画『るろうに剣心』シリーズでは原作ファンからも高い評価を獲得し、映画「ミッシング」(2024年公開)など現代劇でも存在感を発揮。さらに韓国映画「犯罪都市 NO WAY OUT」(2024年日本公開)にも出演し、活動のフィールドをより広げた。国境を越えた作品への出演は、青木が“世界で通用する日本人俳優”であることを明確に示すきっかけにもなったといえる。

加えて、2023年4月から放送されているバラエティ番組「ララLIFE」(毎週金曜夜11:30-11:58、TBS系ほか)ではメインMCを務めるなど、新たな一面も披露。さらに2025年に開催された大阪・関西万博ではスペシャルサポーターに就任し、表現者としてだけでなく、文化発信の担い手として新たな存在感を示している。
青木崇高
青木崇高 / ※ザテレビジョン撮影


■ミステリー作品で際立つ“静”の芝居

ハードボイルドな時代劇から現代劇のミステリーまで幅広いジャンルを横断する青木。その演技を掘り下げていくと、“静”と“動”を自在に行き来する振り幅の大きさが見えてくる。中でも彼の“静”の芝居を堪能できるのが、「十角館の殺人」や「時計館の殺人」といったミステリー作品だろう。

Huluオリジナル「十角館の殺人」(2024年配信、全5話)は、日本ミステリー界の巨匠・綾辻行人氏の代表作『館』シリーズの第1作にして、長年“映像化不可能”と言われ続けてきた同名小説を実写化した作品だ。青木が演じたのは、江南孝明(奥智哉)とともに謎を解き明かしていく島田。あまり多くを語らず、感情も大きくは動かさない人物だが、青木はその沈黙や間(ま)を武器に、キャラクターの内側にある思考や意図をにじませていく。

特に印象的なのが、江南の推理を受け止める場面だ。真正面から否定するのではなく、わずかな表情の変化や間合いの取り方、そして含みを持たせた言葉で応じることで、島田という人物の底知れなさを感じさせる。視線の動きや声のトーンといった細部に至るまでコントロールされた芝居は、観る側に“何を考えているのか”を想像させ、物語への没入感を一段と高めていた。

さらに青木は、『館』シリーズの実写化第2弾となる「時計館の殺人」(全8話)でも、メインキャストとして続投。自身が演じる島田は推理作家・鹿谷門実としてデビューし、鎌倉の外れに建つ謎の館・時計館の主人が遺した「沈黙の女神」の詩の謎を追うことに。本作でも“説明しすぎない演技”で、視線や間の取り方、言葉のわずかなニュアンスに違和感をにじませながら、張り詰めた空気の中で物語の緊張感を静かに支えている。

『館』シリーズにとどまらず、「邪神の天秤 公安分析班」(2022年放送、WOWOWプライムほか)でも青木の“静”の魅力は際立つ。演じた鷹野秀昭は、希望が通り公安部へ異動するが、スタンドプレイスタイルが目立つ公安に馴染めずに苦悩する人物だ。政治家殺害事件をきっかけに捜査に打ち込んでいく過程では、後輩を殉職で失った過去の影を背負う憂いの表情を見せている。さらに、エネルギーを抑えた芝居と、爆発する瞬間とのコントラストは、持ち前の高い演技力で的確に表現した。

青木崇高
青木崇高 / ※ザテレビジョン撮影

青木崇高
青木崇高 / ※ザテレビジョン撮影

■アクション作品で発揮される“動”の芝居

ミステリーで際立つ“静”の演技が青木の一面だとすれば、アクション作品では、そのイメージを覆すような“動”の芝居が前面に押し出される。

映画『るろうに剣心』シリーズでは、第1作から約10年にわたり左之助役を演じた青木。驚異的な腕力を持ち、喧嘩っ早く豪快なキャラクターを、危険を伴うシーンにも体当たりで挑むことで体現してきた。

大友啓史監督も「心の奥底から演じる芝居は常に嘘がない。時に不器用に映る一途さも、彼ならではの一流の武器だと思います」と青木を評している。アクションシーンが特徴の本シリーズにおいて、青木は単にアクションをこなすのではなく、肉体を生かした演技で、左之助像を作り上げている。スクリーンに映る姿が“左之助”そのものに見えたのは、徹底した役作りと探究心の成果といえるだろう。

また、韓国俳優マ・ドンソク演じる刑事が犯罪組織と壮絶な戦いを繰り広げる映画『犯罪都市』シリーズの第3弾「犯罪都市 NO WAY OUT」では、主人公と敵対する日本の極悪非道なヤクザ・リキ役で出演。リモートで受けたオーディションでは、「このアクションシーンはこう動くべきでは」と、監督やプロデューサー相手に自ら提案するなど積極的な姿勢を見せ、その場で合格を勝ち取ったという。

さらに撮影前には「るろうに剣心」のアクションチームから指導を受け、徹底した準備で役に臨んだ青木。スピードや力強さだけでなく、間合いや体重の乗せ方まで計算された動きによって、リキというキャラクターの危険な存在感を体現している。一つひとつのアクションに説得力を持たせるその芝居は、まさに“動”で魅せる青木の真骨頂で、マ・ドンソクも「素晴らしかった」と青木の演技を絶賛していた。

青木崇高
青木崇高 / ※ザテレビジョン撮影

表情や間合いで内面を描き出す“静の芝居”と、肉体性と感情の爆発で観客を圧倒する“動の芝居”。その両極を自在に行き来し、作品ごとに異なる顔を見せられる点こそが、青木の最大の強みといえるだろう。出演作が変わるたびに更新されるその振り幅は、今後も観る者の想像を超えていくはずだ。

なお、「十角館の殺人」「時計館の殺人」「邪神の天秤 公安分析班」「犯罪都市 NO WAY OUT」『るろうに剣心』シリーズといった青木の出演作は、動画配信サービス・Huluにて見放題配信中。
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青木崇高 / ※ザテレビジョン撮影


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