「動脈硬化の症状」は何かご存じですか?医師が徹底解説!

「動脈硬化の症状」は何かご存じですか?医師が徹底解説!

血管の老化である動脈硬化は、さまざまな病気によって引き起こされる恐ろしい病気です。

その危険性は、多くの方が思っている以上に高く、年齢なども関係します。しかし、詳しい病気の内容やリスクなど知らない方は多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、動脈硬化がどのような病気かを詳しく解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「動脈硬化」を予防する食べ物はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

郷 正憲

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)

徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

動脈硬化の原因と症状

血圧測定

動脈硬化はどのような病気ですか?

動脈硬化とは、血管が老化することで、硬くなっている状態のことをいいます。通常、血管は弾力があり、しなやかな状態です。
若い方は、この状態を保てていますが、年齢を重ねると硬くなりしなやかさが失われてしまいます。
また、この病気を起こす原因は加齢だけではなく、さまざまな病気によって引き起こされます。そのため、血管が硬くなるだけでなく、最悪の場合は命にかかわることもあります。

動脈硬化の具体的な症状を教えてください。

この病気の具体的な症状としては、次のようなものが代表的です。

頭痛

めまい

手足に力が入らない

動悸・疲れやすい

この病気が現れる部位によっても症状は異なり、頭に現れた場合、頭痛・めまい・手足に力が入らないなどの症状が現れることがあります。
また、心臓で病気が起きた場合は、階段の上り下りなどで動悸がする・疲れやすくなるといった症状が現れる可能性が高いです。これらの症状は、健康診断などを受けていない場合、ある程度進行してから発見されることが多いです。
初期症状を自覚することはほとんどないため、これらの症状が見られた場合には、血管が狭くなるなどかなり悪化しているケースもあるでしょう。その場合は、血栓や潰瘍・血管の破れや閉塞の危険性も高くなります。

原因を教えてください。

この病気の直接的な原因は、血管の中にプラークと呼ばれるこぶができることです。通常、血液中に悪玉コレステロールが流れると、異物とみなして白血球の仲間がこれらを排除しようと働きます。
しかし、排除が行われた後に、その残骸が残ります。それらが血管の壁に張り付くことでプラークができるのです。プラークができると、血管の壁が分厚くなり、血液の通り道が狭くなっていきます。
これにより動脈硬化が起こるのです。そして、この病気には、プラークの生成などに間接的に関わる原因が多数あります。その間接的な原因は、次のようなものです。

加齢

生活習慣病

喫煙

この病気は、10代から徐々に進行するものであり、誰しもかかる可能性があるのです。しかし、生活習慣病にかかると、動脈硬化が悪化する進行速度を早める原因となります。
主な生活習慣病としては、高血圧・糖尿病・脂質異常症などが代表的です。これらの病気が複合的に関わることで、血管を傷つけ病気を進行させていきます。最初のうちは無症状で進行するため、気づかない内に重篤な状態までに陥っていることも少なくありません。
また、喫煙も血管を収縮させ、血流を悪くする原因の1つです。これにより、プラークの発生を助長します。

動脈硬化は足の血管にも起こると聞きましたが…

この病気の症状では、頭痛・めまい・疲れやすいなどの症状をご紹介しましたが、これは頭や心臓で動脈硬化が現れた場合に起こる症状です。そして、この場所以外にも足の血管で起こることがあります。
閉塞性動脈硬化症と呼ばれ、この病気が現れると足の先まで十分な酸素や栄養が行き届かなくなります。そのため、数百メートル歩くだけで痛みが伴い、歩けなくなるなどの症状が現れる可能性が高いです。
休憩すれば歩けはしますが、再び歩けなくなるほどの痛みが伴います。さらに、安静にしていても痛みを感じたり、しびれ・足の冷えなどを感じたりもします。足をひきずるような症状が現れる場合もあるため、注意が必要です。

動脈硬化の診断方法を知りたいです。

この病気の診断には、次のような検査を行い診断します。

血圧検査

血液検査

PWV検査

MRI検査

エコー検査

血圧検査では、高血圧のリスクなどを確認します。さらに、脂質異常症・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病の有無を含めて確認ができる内容です。
PWV検査とは、血液の流れる速度を測定する検査のことです。速度を測定することで、この病気の程度を測ることができます。
MRI検査では、この病気がどの場所で発症しているのかを確認できます。脳・頸動脈・大動脈・冠動脈・下肢動脈などさまざまな箇所の調査ができるのです。
しかし、このMRI検査は専門の機材を必要とするため、どの医療機関でも行える検査方法ではありません。そのため、簡易的で評価できるエコー検査で頸動脈を検査する方法もあります。
頸動脈は、脳動脈や冠動脈などとも相関関係があるため、その異常も発見できます。これらの検査方法を用いることで、この病気を発症しているかどうかやどの程度進行しているかを診断するのです。

編集部まとめ

血液検査表
動脈硬化は、普段の生活習慣・加齢・喫煙・遺伝性とさまざまな要因から発症するリスクのある、恐ろしい病気です。

また、この病気そのものの明確な治療方法はなく、密接にかかわる生活習慣病を改善するための治療や血管の手術でしか対処はできません。

最も効果が高いのは、この病気が発症しにくい体づくりをすることです。そのためには、食事や運動など正しい対処法を知り、医療機関との相談のうえで改善に取り組みましょう。

参考文献

心臓血管外科の病気:閉塞性動脈硬化症|徳洲会グループ

閉塞性動脈硬化症(バイパス術)|足利赤十字病院

わかりやすい病気のはなしシリーズ37 動脈硬化|一般社団法人日本臨床内科医会

配信元: Medical DOC

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