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50歳すぎてハマった「ぬい活」、ぬいの服、バッグ、サングラス、帽子……が無限に増えていく|藤田香織

50歳すぎてハマった「ぬい活」、ぬいの服、バッグ、サングラス、帽子……が無限に増えていく|藤田香織

齢五十も過ぎて、人生初の「推し」ができ、老化する一方の身で西へ東へ遠征する。心は軽いが身体は重い。ままならぬことばかりの50代オタ活考察記!

「ぬい活」にはまってしまった。

昨年10月に念願のトラジャ(Travis Japan)の公式ぬいぐるみが発売されたのである。

この事務所界隈において「ぬい」は関西系のグループが先んじており、なにわ男子やAぇ! groupは、約5年前のジュニア時代に第一弾の「ちびぬい」が発売されている。既に第二弾も世に放たれ、関西系先輩グループであるSUPER EIGHTやWEST.も何年も前から各種タイプのぬいがあり、以前はなんとなく「ぬいは関西のもの」的な空気だったのだ。

もちろん、私もAぇのぬいは持っている。第一弾も第二弾も持っている。これまでも、ライブや舞台には持参していたし、毛糸で帽子を編んだりもした。けれど、それは客観的に見て、「推し活」の一部という感覚に留まっていたと思う。アクリルスタンドや硬質のカードケースに入れた写真を持ち歩くのと一緒にぬいも、という程度の「活動」だった。

それが今や、寝ても覚めても「ぬい」のことを考えている、といっても過言ではない状態に。明らかに、ちょっとどうかしているレベルである。

最初から熱量が高かったわけではない。ぬいが出ますよーという告知があった際は、やっとか! 嬉しい! とは思ったものの、正直、あんまり顔が似ていない気がしたし、衣裳もデビュー時のもので、なぜ3年も経った今さら? とも感じた。なのでとりあえず、自分の好きな3人分×各2体だけを購入し、全員分を揃えるかは追々考えることにした。なにしろAぇの第一弾は千円台だった定価も、今や3200円。ボーナスもない身なのでそうそう迂闊には購入できない。

ところが。早々に届いたダンボール箱に、ぎゅっと詰め込まれた6体を取り出し、本棚に並べた瞬間、自分のなかから「可愛い!」という気持ちがどくどく溢れ出したのだ。やだちょっと可愛くない? と高揚し、各1体は保管用にするつもりだったのに、早くこのビニール袋から出してあげないと窮屈そう! と謎の擬人化モードになり、並べて写真を撮った瞬間(着替えを買ってあげたい)と購買欲が湧いてきた。この子たちに普段着を! と。

「ぬい服 15センチ」で検索しまくり、衝き動かされたように小さな服をポチポチ買う。シャツとブルゾンとパンツのセット3800円、おめかしスーツセット4200円、セーター&マフラー2200円、可愛いよねーダッフルコート2800円。あ、靴もいるね、スニーカー880円×3、スーツには紐靴だな1380円。バッグ! バッグも欲しい! サングラス! メガネ! イニシャルのネックレス作るのにチャームも買おう! 帽子用の毛糸! メンバーカラーの各色とクリスマス用の緑と白も!

今の時代ポチッた翌日には届くので、さっそく着替えさせると、困ったことにこれがますます可愛い。もっともっとあれこれ着せてみたくなり、更に服を買い足す。最近では正月用の着物セットも購入してしまった。4200円+3300円×2。

そうなってくると、次は持ち運ぶ入れ物が必要になり、「ぬい バッグ」で検索。1体用のポーチからトートやハンドバッグ形式のものまでそれはそれは豊富な種類が提示された。とりあえずYouTubeにあった、自分のカバンに入れて持ち運ぶ用のきんちゃく型を自作することに決め、いつかどこかからやってきて忘れられていたきんちゃく袋を家中から発掘し、中身が見えるように片面の生地を切り取り、そこに軟質カードケースを両面テープで張り付けるだけの簡単きんちゃくを作成。いそいそぬいを入れてみるとめちゃくちゃ可愛い。簡単なのに、材料費200円なのに、可愛い。

これはもしかして、生地を選んできんちゃくから自作すれば、もっと可愛さランクが上がるのでは? 帽子は三角ニット帽より、猫耳になる四角形のほうが似合う気がする。っていうか、着替え面倒くさいな! 本体もっと買おう! 100均に便利グッズがいっぱいある! 全部くれ!

と、とても忙しい。先日、オタ活現場の流れで初めてトラジャのぬい8体が集合した際には、可愛さでクラクラ眩暈さえした。脳がとけるのか、みんな「可愛い~」しか発声できなくなっていた。長年、他人どころか自分の服にも興味がなかったのに、ぬいの服なら躊躇いなく褒め、情報を交換しようという意欲も湧く不思議。

新井素子がぬいぐるみ(さん)を「ぬい」と呼び始めてから幾年月。着せ替え人形に興味の欠片もなかったのに、50歳を過ぎてこんなことになるなんて。と思っていたら、今やAIでぬいの着せ替え写真が作れるとか……!

学ぶことが多すぎて本当に忙しい。

*より充実したオタ活生活に!<今月のオタ助け本>

『推しとともに去りぬ』(成田名璃子/講談社)2310円(税込)

情熱MAXな推し活ではなく、日常のなかに推しがいる幸とジレンマ、痛痒さや尊さを描いた5話からなる連作短編集。「男前」だった夫に先立たれた女性を主人公に据えた第2話「水、空気、推し」が巧い。遠い世界のアイドルやスポーツ選手などだけでなく、身近な存在を「推す」エピソードも興味深し。推し活の「活」って活力の活でもあると、つくづくしみじみ。

配信元: 幻冬舎plus

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