「本当に行かないの?」――妻が何度もそう聞いてきたのは、親戚一同で行く旅行に私だけ参加しないからでした。繰り返し聞かれるのがうっとうしくなり、私はトイレに逃げ込むように席を立ちました。
トイレで発生した緊急事態
トイレに入った私を見て、今度は娘から「ドアはちゃんと閉めてって、いつも言ってるでしょ!」と声が飛んできます。仕方なくドアを閉め、カギまでかけました。
その直後、妻と娘は親戚たちと旅行に出発。玄関が閉まる音を聞き、「やれやれ」とため息をつきながらトイレのカギを開けようとしたのですが……開かない! 何度回しても、びくともしません。大声を出して助けを求めましたが、すでに2人は迎えのマイクロバスに乗り込み、2泊3日の旅行へ行ってしまったあとでした。
必死の叫びもむなしく…
梅雨明けの蒸し暑い時期。時間が経つほどにトイレの中は熱気でこもっていきます。しかも不運なことに、わが家のトイレは最近交換したばかりのタンクレスタイプ。水分の確保もできず、焦りが一気に募りました。
そんなとき、旅行中の娘から自宅に電話が入りました。留守番電話に「パパ、用があったら電話してね」と残されていたのを聞き、私は必死に「助けて、助けて!」と叫びました。けれど、無情にも通話は切れてしまいました。

