所ジョージ的考え方で捉える「嫌なトラブル」が「楽しみのタネ」になる方法「よくぞそこで電池がなくなってくれた!」

所ジョージ的考え方で捉える「嫌なトラブル」が「楽しみのタネ」になる方法「よくぞそこで電池がなくなってくれた!」

「所さんの世田谷ベース」
「所さんの世田谷ベース」 / 撮影=WEBザテレビジョン

BSフジの人気番組「所さんの世田谷ベース」(毎週土曜夜10:00-10:55)。所ジョージ的モノの考え方や閃いた遊び、世の中の楽しみ方を発信する同番組は、2026年に放送20周年を迎える。WEBザテレビジョンはこの機会に世田谷ベースへ直撃。台本のない同番組のことや長く楽しく続く秘訣などを本人にたっぷり語ってもらった。その「所ジョージの世田谷ベース的思考」のロングインタビューを、複数回に分けて短期連載としてお届け。初回は身近に起きた事件から、「困った」「嫌なメにあった」で終わらせない“楽しみ方”を深掘りする。

■毎週なんか必ず起きるんだよね

BSフジで19年やってるけど、これだけずっと続いてるんだから地上波でも放送すればいいのにね。BSフジの再放送を地上波でやるのも良いと思うよ。新しいよね!普通BSが再放送だけど、BSで先行してBSを見られない人が地上波で再放送を見る。

――20年近く続いている番組というのも、すごいですよね。

毎回、頓珍漢な話をしてるよ。毎週なんか必ず起きるんだよね。たとえば楽しくないことって、いっぱい起きるじゃん。そっちの方が皆さん多い。「つまんないな」とか「こんな目にあっちゃった」とか。でも、“こんな目にあう”ことが僕にとっては面白いんだよ。

「つまんないこと」「大変なこと」とまとめてしまえばだいたいのことは「嫌なこと」になるし、「楽しいことのきっかけになってる」と思えば「楽しいこと」のカテゴリーに入れられる。でも「全部が全部、楽しい方向には持っていきづらい」と思うでしょ?いや持っていけるんですよ、なんだって。なんでも楽しいよ!

この間なんかは、「俺はどうしたらいいんだろう」って目にあったからね。ゴルフ場で用を足そうとしたときの話しなんだけど、奥の個室に入ったんだよ。たぶん、滅多に誰も使わないんだろうね。押したらウォシュレットが出るんだけど、前の人が水の強さを“最強”にしててさ…。

「どういうケツなんだバカ!」と思いながら、ともかくそれを弱にしようとしたんだよ。でもリモコンの電池がなくなっちゃったみたいで止めることもできない。

これって本当は大変で悲しいできごとだよね。「なんで俺がこんな目に合うんだろ」とか「せっかくレジャーに来てるのに」と思ってしまう。たとえばゴルフ場に初めて来た人がこんな目にあったら、ゴルフ場の印象も、もしかしたらゴルフに対しても印象が悪くなるかもしれない。

ところが僕は、こんな事態が面白くなっちゃって。「こりゃ俺はどうやってここから対処するんだろう」と思ったんだよ。

――どうされたんですか?

電池ってね、押すたびに微弱電がちょっとずつ出ていっちゃうわけ。だから「1分待とう」と決めたんだ。電池って意外と1分後ぐらいにちょっとだけ動いたりするからね。

1分間、その強力なケツへの攻撃をね、上下左右にケツをまわして避けながら…“中央”に来ないようにぐるぐるまわしながら「まだかな」「いまだとだめかな」「いまかなぁ」「これ飛び出るとどうなんだろう…いや、斜めに噴出してるわけだから追っかけてくるかぁ」「元電源には手が届かないしなぁ」とかいろいろ思いながら待ったんだよ。そして体感1分ぐらいしてからリモコンを操作したら、見事止まったわけ!

これも経験値なんだよ。早く止めようといろいろ操作しちゃうと、電気は溜まらないまま。でも「1分くらい待つと少しは動く」という経験があったから、なんとかできたんだね。こうなるともう、緊急ミッションを試行錯誤で潜り抜けた…みたいな。ほんと方向としては楽しいことしかないんだよ。「よくぞそこで電池がなくなってくれた!」って思ったね。

■なんなんだろう我々人間のこの馬鹿な方向は

――非常事態だったと思いますが、コントでありそうなシチュエーションですね(笑)

でもそのときに思ったのが、「これがリモートコントロールなのかね?」だったね。みなさん「リモコン」と呼び慣れているから「リモコン」という言葉の意味を考えず、「簡単に使えるもの便利なもの」をリモコンだと思っているんだよ。

リモコンって言葉は“リモートコントロール”の略…つまり日本語で言えば“遠隔操作”なわけ。でも遠隔って言ったって、手が届くところに置いてあるボタンは別に遠隔じゃねーだろと思って。これは有線でいいだろと。

ウォシュレットのリモコンは施工の時に楽だから、有線だと配線考えないといけないから「業者が楽をするためのリモートコントロール」なんだよ。無線を使っていたり電池を使ったりでリモートコントロールにするの。でも有線で直接操作するボタンだったら、電池なんて要らないよね。

手が届く場所にあるんだから、これは別にリモートコントロールじゃなくていいんだよ。帰り際にそんなことを考えて、「なんなんだろう我々人間のこの馬鹿な方向は」と思うわけで。

そこからさらに「いろいろな便利なものに対して俺らは鈍感になってんじゃないかな」と思考が広がる。家の中なんかは遠隔操作いらねぇだろとか。なんでもリモコンになっているけど、全部有線でいいじゃん。そこまで歩いて行けばいいんだもん。そうしたら電池なんてほとんどいらないでしょ。

――所さんの著書「スーパートコロ辞典」でも仰っていましたね。「リモコンに操作されるんじゃなく、人間がリモコンを操作するべきだ」と。

だって元電源から電気はきているわけで、元電源から使うのが一番エネルギーの効率が良いはずじゃない。それを1回電池に蓄えると、少なからずエネルギーにロスが生まれちゃうわけでしょ。少なくとも増えることはないんだから、本来はそこを見直すべきだと思う。

…っていうのをウォシュレット事件から考えるわけだよ。

――すごい発想の展開というか。辞典にウォシュレットの「ウ」行が1つ追加された分けですね。

お尻1つの事情に対しても、「人間って愚かだな」というところに気づかされるわけですよ。「ウォシュレットとは」「リモートコントロールとは」てね。

■過去に全部できあがっているんだって、未来は

でも世の中リモートコントロールだらけになって、その後に「有線で動く機械を作りましたよ」「こっちは電池が要らないんだよ」となったら「あ、そうなの!?」ってみんな驚くと思わない?そっちが「未来」になるわけだよ。

そうなればみんなが「有線志向」になる。それが未来だと思ってるから。「お前なにまだリモコンなんか使ってるの?」みたいに。

――逆転現象ですね。

今の電話だって無線で使っているけど、やがてみんな「ながら電話」して「歩きながら電話は危険だ」と“立ち止まって電話するためのBOX”ができるんだよ。喫煙所の隣にBOXができる、電話できるスペースが。だったらそこに電話機があればいい…これが公衆電話になると。

――公衆電話が未来のアイテムになるわけですか。

みんなそこに集まって電話すればいいわけだから、電話は持ち歩かなくて良くなるよね。たとえば国が「全員スマホを持ちなさい」って指示するとするじゃない。そしたら反対運動が出るじゃん。マイナンバーカードと同じように、「持たなくてもいいだろ」「任意だろ」みたいな。でも全員持つように強制される。

そこに「今度有線ってのができたらしいよ」「家に電話機ができたらしいよ」と来たら、「持たなくていいんだやったー!」ってなるんだよ。だからみんな、順番が違うだけで未来のモノか過去のモノかを決めてるんだよ。

だって良い暮らしができるから。一番良いものが未来なんだよ。でもよく考えると、過去に全部できあがっているんだって、未来は。

電話も有線。遠隔操作もいらない…手が届く家の中はね。それができればめんどくさくないし、電池を取り換えなくてもいいし、ケツにとんでもない危機が迫ることもないし。

――所さんは以前のインタビューでもその思想を話していらっしゃいましたよね。所さんにとっての未来は1973年だし、「一番良いもの」が未来だと。

順番が違うだけで目新しく感じるんだよね。商売をやっている人はそのものを売りたいから、マイナーチェンジが起きているだけなんだけど。

マイナスに考える人は、嫌なメにあったらおしまい。だけど「なんなんだよ」というところを考え出すと、いっぱい面白い枝が広がるよっていう話。

ほ~んと、くだらないことばっかりだけど面白いんだよ、毎日!

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なお、所ジョージがMCを務める「所さんの世田谷ベース」(BSフジ)の第447回「こうなりゃ、緊急会議なのだ。」が10月4日(土)夜10時から放送。バイクショップや工具メーカーからカリスマ2名をゲストに、所が求める道具を作る緊急会議をおこなうという。

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