「お風呂にしっかり浸かる人」「シャワーだけで済ます人」どちらが健康的?メディカルドック監修医がそれぞれのメリットや注意点などを解説します。

監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。
お風呂に浸かる健康メリット

「お風呂にしっかり浸かる人」と「シャワーだけで済ます人」は、体の汚れを落とすという目的は同じでも、体への影響には違いがあると考えられています。
特に、自律神経(リラックスや緊張を調整する神経)、血管の広がり方、体温の変化などに違いが出ることが報告されています。それぞれの特徴や注意点について見ていきましょう。
寝つきが良くなる効果
入浴によって体が温まると、その後、手足の血管が広がり、体の中心部の体温(深部体温)がゆっくり下がっていきます。この体温の変化が眠気につながる可能性があると考えられています。
就寝の1〜2時間前に、ぬるめ(38〜40℃程度)のお湯に10〜15分ほど浸かると、寝つきが良くなることを示した研究もあります。ただし、効果の感じ方には個人差があります。
また、入浴習慣がある人で抑うつ症状が少ないという観察研究もありますが、入浴すればうつ病を予防できる、と断定できる段階ではありません。睡眠の質が整うことが、間接的に心の健康に良い影響を与える可能性がある、と考えられています。
温熱効果
お風呂で体が温まると、体の中ではヒートショックプロテイン(HSP)と呼ばれる、細胞を守る働きを持つたんぱく質が関与する可能性が示されています。HSPは、細胞のダメージを修復する働きなどに関わるとされています。
温熱刺激が代謝や炎症反応に良い方向に働く可能性を示唆する研究もありますが、日常的な入浴だけで糖尿病やアルツハイマー病を予防できると断定することはできません。現時点では、体を適度に温めることが体調維持に関係している可能性がある、という段階です。
心血管疾患の予防効果
お風呂で体が温まると血管が広がり、血流が増えます。また、水圧の影響で心臓へ戻る血液量も増えます。その結果、心拍数や血圧に変化が起こります。
こうした反応は軽い運動に似た面もあり、長期的に血管機能に良い影響がある可能性が示唆されています。実際に、入浴頻度が高い人で心筋梗塞や脳卒中の発症が少ない傾向を示した観察研究もあります。
ただし、これは関連が示されたものであり、入浴そのものが病気を直接予防するとは言い切れません。生活習慣全体(運動・食事・睡眠など)の影響も大きいため、入浴だけで健康が決まるわけではないことを理解しておくことが大切です。
シャワーを浴びる健康メリット

シャワーの最大の利点は、短時間で汗や皮脂を落とし、清潔を保ちやすいことです。皮膚を清潔に保つことは、感染予防や皮膚トラブルの予防にもつながります。
ただし、洗いすぎや熱すぎるお湯は、かえって皮膚の乾燥やかゆみの原因になります。やさしく、必要な部位を中心に洗うことが大切です。
皮膚の状態を管理しやすい
乾燥肌の人やアトピー体質の人では、湯船に長時間浸かるよりも、短時間のぬるめシャワーのほうが皮膚状態を管理しやすい場合があります。
皮膚科では、「熱すぎない温度」「短時間」「こすりすぎない」「入浴後すぐ保湿」が基本とされています。肌の状態に合わせて方法を選ぶことが大切です。
体全体への負担が少ない
湯船に浸かると血圧や心拍数の変動が起こりやすくなりますが、シャワーは体全体が水に浸からないため、比較的負担が小さいと考えられています。
体調が優れない日や高齢者では、シャワーの方が安全に行いやすい場合があります。
冷水シャワーは話題になることがありますが、大規模試験では「自己申告の病欠日数は減ったものの、実際の病気の日数は変わらなかった」とする報告もあり、健康効果の根拠はまだ限定的です。無理をして続ける必要はありません。

