「わが子のそばにいたい」「でも、しんどい……」
半数以上の付き添い家族が体調不良に
重い病気で子どもが入院する場合、大人の入院との大きな違いの一つは、家族(主に両親)の付き添いの有無です。付き添いは強制ではないものの、子どもが低年齢の場合などに家族が付き添うケースは多く、家族が子どもと一緒に病室に寝泊まりして付き添い・看病を行うことは、通称「付き添い入院」と呼ばれます。
このように小児患者に付き添う家族の負担は大きく、認定NPO法人キープ・スマイリングが2023年6月に発表した大規模調査の結果※2によって、その実態が初めて全国規模で可視化されました。
その後、2024年7月に日本小児科学会も「入院しているこどもの家族の付き添いに関する見解」を発表※3。家族の付き添いの治療的観点からの有益性を認めつつ、付き添いの有無について選択ができる状況や、家族も含めた well-being が守られる環境整備の必要性について指摘しました。
環境改善について個々の医療機関が行える範囲には限界があり、国としてもこうした状況を踏まえて2024年6月の診療報酬改定や同年の補正予算などで環境改善に向けた制度改革に乗り出したものの、まだ取り組みが始まったばかりの段階です。
前述のように医療機関の集約化が避けられないなか、病院と自宅との距離が遠くなることで、付き添う家族の負担はさらに大きくなり、支援もより必要となることが予想されます。
【入院中の子どもに付き添う家族の生活実態調査2022】 (認定NPO法人キープ・スマイリング)
■2人に1人が子どもと同じベッドに就寝。8割強は熟睡できず。
■院内のコンビニ・売店の食事が6割強。食べる時間すらない家族も多数。
■半数以上が体調不良になる中、病院からのサポートを受けられたのは2割。
【入院しているこどもの家族の付き添いに関する見解(概要)】 (公益社団法人日本小児科学会)
入院中のこどもに対する家族の付き添いは成人の入院と同じに考えるべきではありません。こどもと家族が共にいることは権利であるだけでなく、メンタルヘルスの安定につながり治療的観点からも有益です。
そのため、こどもと家族の希望や背景を勘案しながら、医学的にどちらを選択しても問題ないと判断された場合は、付き添いありでも、付き添いなしでも入院できる状況にすることが望ましいと考えます。
どちらを選択しても、こどもと家族のwell-being 注)が保障される病院環境の整備、診療報酬の見直し、社会制度の変革を望みます。
注)身体的、精神的に健康な状態であるだけでなく、社会的、経済的に良好で満たされている状態にあること
病院のそばの「第二のわが家」
のべ10万家族を支援する「ドナルド・マクドナルド・ハウス」
こうした中、子どもの治療に付き添うご家族のための滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス」の日本国内での累計利用家族数が、2026年3月3日に、のべ10万家族を突破しました。
ハウスは、自宅から遠く離れた医療機関で治療を受ける小児患者家族の精神的・肉体的・経済的負担をサポートすることを目的に、高度な小児医療を提供する病院に隣接して設置されている滞在施設です。
「"Keeping Families Close"、どんな時でも家族が一緒にいられるように」という想いのもと、現在日本国内には12ヶ所・全世界には約390ヶ所設置されています。
1人1日1,000円で滞在することができ、プライバシーが確保された個室のベッドルームで心身を休められるほか、共用のキッチン・ダイニングでは自炊が可能で、同じ立場のご家族同士で交流をすることも可能です。
付き添う家族がよいコンディションでいられることは、治療に臨む子どもたちにとっても大きな支えとなり、今やハウスは病気の子どもとその家族・そして医療従事者にとっても不可欠な存在となっています。
