
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、レーベル「ディアプラス・コミックス」の漫画『后宮のオメガ』(新書館刊)を紹介する。作者の露久ふみさんが、8月11日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、6000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、露久ふみさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■後宮で出会った不思議な少年の正体は

男女の性別とは別に秀でた能力を持つ「α」とごく普通の「β」、種の繁殖が役目とされる「Ω」という性別がある世界でのこと。雪深い国の王家の末席に生まれた王子・イリヤは、“Ω”として生を受けたことで、青い海に囲まれたハヌ国の王・ハーリドのもとへ嫁ぐことになる。
ハヌ国へとやってきたイリヤは、ある時後宮にやってきた身なりの良い少年と出会う。迷子になった王子かと考え、イリヤは彼を後宮の出口へと案内するが、少年は「またすぐに会える」と言ってその場を後にするのだった。翌日、身支度を済ませたイリヤがハーリド王のもとへと向かうと、そこにはあの少年がおり…。
この王と妃の物語を読んだ人たちからは、「全てが美しくて眼福」「教科書に載せたい」「何気ない日常も見てみたい」「この世界に行きたい」など、多くのコメントが寄せられている。
■「“自らの意志で愛を選ぶ”姿を描きたい」作者・露久ふみさんに漫画創作へのこだわりをインタビュー

――本作のお話の発想の源はどこだったのでしょうか?
「愛とは、ときにもっとも弱い立場にある者に試されるものではないか」という思いから物語を構想いたしました。希少な存在であるがゆえに翻弄されるオメガの王子と、若くして王となった少年。その出会いを通じて、権力や運命に縛られながらも“自らの意志で愛を選ぶ”姿を描きたいと考えました。
――本作では、イリヤの美しさ、ハーリドの凛々しさが非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
イリヤの美しさは見た目だけではなく、彼の内に秘められた強さや優しさも含めて感じ取っていただけるよう意識しました。一方でハーリドは、王としての威厳と、年若いがゆえの真っ直ぐさを併せ持っています。その二面性を丁寧に描くことで、2人が互いの中に見出す光と影がより際立つよう心がけました。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
最終話間近でイリヤが侍女のスゥヤに向かって「俺がここに戻れたのはお前がずっと傍にいてくれたからだ」と語りかける場面です。イリヤが歩んできた道は決して穏やかなものではなく、いつも彼の陰には、時には姉のように、時には友人のように静かに寄り添い支えてきた侍女スゥヤの存在がありました。彼女の存在があってこそ、イリヤが深く人と結びつく人物として描けたと感じています。そのため、このシーンには特に思い入れがあります。
――ストーリーを考えるうえで気をつけていることや意識していることなどについてお教えください。
人物の感情が必然性をもって積み重なることを大切にしています。登場人物たちが「その人ならそう言うだろうな」と思っていただけるような心の動きを意識しながら物語を進めています。
――露久ふみさんの作品は非常に読みやすく、人物や背景が鮮やかに描かれているように感じます。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
人物の「目」と「手」に特に気を配っています。視線や指先のわずかな動きは、言葉以上に感情を語ることがありますので、その表現が伝わるよう心がけています。背景や装飾も、登場人物の心情を映す舞台として調和させることを意識しています。
――今後の展望や目標をお教えください。
読み終えたときに、彼らの選んだ愛が胸に響くような作品となることを願っています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
『后宮のオメガ』をお手に取ってくださり、誠にありがとうございます。彼らが紡ぐ時間は決して甘やかさだけではなく、痛みや葛藤も伴うものです。そのすべてを含めて見届けていただけましたら、作者としてこれほど幸せなことはございません。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

