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頭部外傷後の早期リハビリが「アルツハイマー病」のリスクを下げる? 4割のリスク減を示す最新研究を医師が解説

頭部外傷後の早期リハビリが「アルツハイマー病」のリスクを下げる? 4割のリスク減を示す最新研究を医師が解説

アメリカのケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究員らは、 1億人以上の米国患者の健康記録を含むTriNetX Analytics Platformを用いた後ろ向きコホート研究を実施しました。中等度または重度の外傷性脳損傷(TBI)後、1週間以内に神経リハビリテーションを開始した患者は、遅延した患者と比べて3〜5年後のアルツハイマー病発症リスクが約30〜41%低いことが示されました。この内容について伊藤先生に伺いました。

※2026年3月取材。

伊藤 たえ

監修医師:
伊藤 たえ(医師)

浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

外傷性脳損傷後の「早期リハビリ」がアルツハイマー病リスクを低減することが明らかに

編集部

ケース・ウェスタン・リザーブ大学の研究員らが発表した内容を教えてください。

伊藤先生

今回の研究では、1億人以上の米国患者の健康記録を含むTriNetX Analytics Platformを用いた後ろ向きコホート研究が実施されました。対象は中等度または重度のTBIを有する50〜90歳の成人で、TBI後1週間以内に神経リハビリテーションを開始した「即時治療群」と、1週間を超えてから開始した「遅延治療群」に分けて比較されました。傾向スコアマッチングにより、適格患者3万7081人のうち1万7636人を対象にCox比例ハザードモデルを適用し、ADをはじめ軽度認知障害(MCI)、認知症、AD関連薬の処方といったアウトカムが評価されました。

その結果、即時治療群は遅延治療群と比較して、3年時点でAD発症リスクが約41%低く(ハザード比0.59)、5年時点でも約30%低い(ハザード比0.70)ことが示されました。さらに、MCIや認知症、AD関連薬の使用においても同様のリスク低下が確認されました。

これらの結果は、中等度または重度のTBI後に迅速な神経リハビリテーション治療を開始することが、長期的な神経変性の進行を抑制し、ADおよび関連する認知機能低下のリスクを有意に減らす可能性を示しています。早期介入の重要性を裏付ける知見として、今後の臨床実践に重要な示唆を与えるものです。

外傷性脳損傷(TBI)とは? 原因・症状を医師が解説

編集部

今回の研究テーマに関連する外傷性脳損傷について教えてください。

伊藤先生

外傷性脳損傷(TBI)とは、交通事故や転倒・転落、スポーツ時の衝撃などで頭部に強い力が加わり、脳が傷つくことで起こる疾患です。若い方では交通事故やスポーツ、労働災害が原因となることが多く、高齢者では転倒・転落が主な原因となっています。

損傷の種類としては、頭蓋骨にひびが入る「頭蓋骨骨折」、脳の組織が圧迫・損傷して出血や浮腫を起こす「脳挫傷」「急性硬膜下血腫」、脳の広い範囲で神経に損傷が生じる「びまん性軸索損傷」などがあります。また、外傷直後に生じる「一次性脳損傷」と、その後に脳の血流低下や圧迫によって起こる「二次性脳損傷」に分けられます。

症状は人によって異なり、頭痛や吐き気、めまい、意識障害が早期に現れる場合もあれば、痛み以外の症状に乏しい場合もあります。時間がたってから運動機能障害や高次脳機能障害、てんかんなどが現れることもあります。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

配信元: Medical DOC

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