寒暖差や低気圧の変化で頭痛やめまい、だるさが出る「気象病(天気痛)」。自律神経が敏感な人ほど影響を受けやすく、季節の変わり目には症状が悪化することもあります。なぜ天気で体調が揺らぐのか、どんな人がなりやすいのか、そして予防はできるのか――柳田内科胃腸科の柳田先生が解説します。
※2026年1月取材。

監修医師:
柳田 佳史(柳田内科胃腸科)
杏林大学医学部卒業。名鉄病院 研修医、同院消化器内科 医員、友愛医療センター消化器内科 医員、柳田内科胃腸科 副院長を経て現職。日本内科学会 認定内科医、日本消化器病学会 消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医。
気象病の症状とは…
編集部
気象病とは、どのような状態を指すのでしょうか?
柳田先生
気象病とは、気温や気圧、湿度などの気象変化によって体調不良が起こる状態の総称です。医学的な正式名称ではありませんが、近年広く使われています。特に低気圧や寒暖差をきっかけに、自律神経のバランスが乱れることで症状が表れると考えられています。命に関わる病気ではありませんが、生活の質を大きく下げることがあります。
編集部
どのような症状が多いのでしょうか?
柳田先生
代表的なのは頭痛、めまい、肩凝り、首の痛み、倦怠(けんたい)感、眠気です。そのほか、関節痛、腰痛、古傷の痛み、気分の落ち込み、不安感を訴える人もいます。症状は人によって異なり、「天気が崩れる前に体調が悪くなる」「気温の変化が激しいときに症状が出る」「季節の変わり目に体調を崩す」といった訴えが多いのも気象病の特徴です。
編集部
なぜ天気の変化で体調が悪くなるのでしょうか?
柳田先生
大きな要因は自律神経の乱れです。気圧や気温の変化は、耳の奥にある内耳で感知され、脳に伝えられます。この刺激が過剰になると、自律神経がうまく切り替わらず、血管の収縮や拡張、筋肉の緊張に影響し、頭痛やだるさとして表れます。
編集部
病院で診断される病気なのでしょうか?
柳田先生
気象病そのものを診断する明確な検査はありません。ほかの病気が隠れていないかを確認した上で、症状や経過から総合的に判断します。そのため、何らかの症状があっても検査で見つからなければ「異常なし」と言われてしまうことも少なくありません。症状が続く場合は我慢せず、相談することが大切です。
どんな人がなりやすい? 放置するとどうなる?
編集部
気象病になりやすい人の特徴はありますか?
柳田先生
自律神経が乱れやすい人は、なりやすい傾向があります。具体的には片頭痛持ち、乗り物酔いをしやすい人、冷え性の人、ストレスを抱えやすい人、生活リズムが不規則な人などですね。
編集部
性別や年齢による違いはあるのでしょうか?
柳田先生
一般的に、女性が多いとされています。女性ホルモンは自律神経と密接に関係しているため、月経周期や更年期の影響を受けやすいからです。また、加齢とともに気温調節機能が低下することで、寒暖差に弱くなり、症状が出やすくなる人もいます。
編集部
放置すると、どうなってしまうのでしょうか?
柳田先生
気象病自体が重篤な病気に進行することはありませんが、慢性的な頭痛や倦怠感が続くことで、仕事や家事に支障を来します。「また具合が悪くなるのでは?」という不安が強くなり、気分の落ち込みや睡眠障害につながることも少なくありません。さらに、頭痛やめまいの中には、脳や耳の病気、高血圧などが隠れている場合もあります。症状が急に強く出た、これまでと明らかに違う、徐々に悪化しているという場合は気象病と決めつけず、医療機関での確認が必要です。

