眼瞼下垂には、生まれつき存在するケースと、成長の過程や加齢によって後から発症するケースがあります。先天性眼瞼下垂は、胎児期における筋肉や組織の形成過程に何らかの問題が生じることで起こります。早期に適切な対応を行うことが、視機能の発達にとって重要となる場合もあります。ここでは、先天性眼瞼下垂が生じるメカニズムについて解説します。

監修医師:
柿崎 寛子(医師)
三重大学医学部卒業 / 現在はVISTA medical center shenzhen 勤務 / 専門は眼科
先天性眼瞼下垂の原因
眼瞼下垂は生まれつき存在する先天性と、後から発症する後天性に大きく分けられます。まず先天性眼瞼下垂の原因について解説します。
まぶたを持ち上げる筋肉の発達不全
先天性眼瞼下垂の主な原因は、まぶたを持ち上げる筋肉である上眼瞼挙筋(目を開けるときにまぶたを持ち上げる筋肉)の発達が不十分なことです。この筋肉は胎児期に形成されますが、何らかの理由で正常に発達しなかった場合、生まれたときからまぶたが下がった状態になります。
上眼瞼挙筋は、目を開けるときに収縮してまぶたを引き上げる重要な役割を担っています。この筋肉が薄かったり、弾力性に乏しかったりすると、十分な力でまぶたを持ち上げることができません。そのため、目を開けようとしても瞳孔が十分に露出せず、視野が制限された状態になります。
先天性眼瞼下垂は片目だけに現れることもあれば、両目に現れることもあります。また、程度もさまざまで、軽度の場合は日常生活に大きな支障がないこともありますが、重度の場合は視力だけではなく視機能全体の発達にも影響を及ぼす可能性があるため、早期の対応が望まれます。
遺伝的要因と発症時期
先天性眼瞼下垂には遺伝的な要因が関与している場合があります。家族内に眼瞼下垂の方がいる場合、その子どもにも発症するリスクが高まることが知られています。ただし、必ずしも遺伝するわけではなく、遺伝的素因と環境要因が複合的に作用していると考えられています。
新生児期から乳児期にかけて、まぶたの開き方が左右で異なることや、目を開けているのに眠そうに見えることで気づかれることが多いです。乳幼児健診で指摘されることもあれば、保護者が日常的に気づくこともあります。
先天性眼瞼下垂は成長とともに若干改善する場合もありますが、自然に治ることは少ないとされています。特に重度の場合、下がったまぶたによって視界が遮られることで、視力の正常な発達が妨げられる「弱視」のリスクがあるため、適切な時期に治療を検討することが重要です。
まとめ
眼瞼下垂は、時間の経過とともに症状が進行することがありますが、適切な治療によって視野の改善や身体的な負担の軽減が期待できます。まぶたの重さや視界の狭まり、頭痛や肩こりといった症状に心当たりがある場合は、早めに眼科を受診することをおすすめします。適切な診断と治療により、見え方の質や生活の快適さを大きく改善できる可能性があります。症状の程度や治療の選択肢について、専門医と十分に相談し、ご自身に合った対処法を見つけましょう。
参考文献
日本眼科学会「眼瞼下垂」
日本形成外科学会「眼瞼下垂症」

