●現在の国際観光ホテル整備法
なお、現在もこの法律に基づいて、一定の基準を満たしたホテルや旅館の登録制度が続いています。観光庁公式サイトでは、次のように説明されています。
「国際観光ホテル整備法は、ホテルその他の外客宿泊施設についての登録制度や外客に対する登録ホテル等に関する情報提供を促進するための措置等について規定」
ホテルであれば「基準客室数15室以上」「洋朝食が提供できる厨房および食堂」、旅館であれば「基準客室数10室以上」「共同用浴室」などが定められています。2025年1月時点で、ホテル938施設、旅館1364施設が登録されています。
また、複数の外国語での標識や、インターネット環境の整備など、外国人観光客に配慮した措置も義務付けられています。
広縁の規定は姿を消しましたが、旅館にあるとどこかほっとする人は多いでしょう。窓辺で腰を下ろし、お茶を飲むひととき──それは、日本の復興と観光政策の歴史を今に伝える、静かな名残なのです。

