
中島歩と草川拓弥がW主演を務めるドラマ25「俺たちバッドバーバーズ」(毎週金曜深夜0:42-1:13ほか、テレ東系ほか※最終話は深夜0:57-1:28ほか/U-NEXT・TVer・Leminoにて配信)が3月27日(金)の放送で最終回を迎える。
同ドラマは、「ベイビーわるきゅーれ」シリーズや映画「ネムルバカ」の阪元裕吾監督とテレビ東京が、「ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!」以来、二度目のタッグで送る“理容師アクションコメディー”。
田舎町にひっそりと佇むレトロな雰囲気の理容室・月白理容室を舞台に、表の顔は理容師だが、裏の顔は客が持ってきた表社会では解決できないトラブルを力で解決する“裏用師(リヨウシ)”として活動する理容室店主と、月白理容室に住み込みで働くことになる元美容師の2人が、不器用ながらもさまざまな依頼を引き受け、依頼人の髪と人生を整えていく様子を描く。
中島は情けなく無力だが情にあつい元美容師の日暮歩を、草川は冷徹で人の心を持たず、けんかに強いが、意外な一面も持つ月白理容室の店主・月白司を演じる。
このたび、WEBザテレビジョンでは本作のプロデューサー・加瀬未奈氏にインタビューを実施。本作の制作経緯やキャストの起用理由、現場の雰囲気などについて話を聞いた。
■制作のきっかけは「阪元監督が描く男性のバディー作品を見てみたい」
――今作の制作に至った経緯を教えてください。
制作のきっかけは、『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』で阪元裕吾監督とご一緒させていただき、作品が終わった後に「次は男性のバディー作品をやりたいです」とお話をしていました。その後、阪元監督へ「中島歩さんと草川拓弥さん主演で、一緒に企画を考えませんか?」とお声がけして、いくつかアイデアが出た中から企画を練り上げていきました。
――『ベイビーわるきゅーれ』シリーズは女性2人の殺し屋を描いた人気作ですが、そこから男性のバディー作品へというのは何かきっかけがあったのでしょうか?
単純に性別を入れ替えたというわけではなく、以前から、阪元監督が描く男性像がとても面白いなと思っていました。『ベイビーわるきゅーれ』シリーズの主人公は女性2人ですが、『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』の敵キャラであったり、阪元監督が手掛ける映画『ある用務員』や『最強殺し屋伝説国岡』などの作品は“孤独な男性”を描いていて、そうしたことから、阪元監督が描く男性のバディー作品を見てみたいという思いが、この企画の出発点になります。
――視聴者からの反響はどのように感じていますか?
Xなどで盛り上がってくださっているのを見て、とてもうれしく感じています。特に印象的なのは、“中島さんのこれまでにない一面が見られた”という声や、草川さんのグループ活動とは違う新たな魅力が見られた”といった感想です。
■現場での中島歩と草川拓弥「演技を通して信頼関係を」
――正反対の性格の日暮と月白のコンビはすごく反響がありますが、中島さんと草川さんの起用した理由を教えてください。
最初にキャスティングを決めたのは草川さんでした。『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!』で殺し屋協会の一大プロジェクトを仕切るプロジェクトマネージャーの夏目敬という役を演じていただいたのですが、しっかりとした大人らしさや責任感があり、共感しやすい人物像を自然に表現されていて、その振り幅の大きさがとても印象的でした。そこで、草川さんの“見た目はまともなのに中身はどこか普通じゃない”といったキャラクターも、ぜひ見てみたいと思い、オファーさせていただきました。
そのうえで、草川さんに合う相手役を考えたときに、あえて異なるジャンルの方がいいのではないか、同じタイプではない方が面白いのではないかと思いました。そんな中で、拝見させていただきました城山羊の会という劇団の『平和によるうしろめたさの為の』という舞台に中島さんが出演されていて、とてもコメディー色の強い役を演じていました。ここ数年の中島さんを見ていると、映画とドラマで見せる顔が少しずつ違うと感じていて。なんとなくのイメージですが、映画では繊細でどこか“クズっぽさ”のある役柄が多く、一方でドラマではスマートな紳士といった魅力が際立っているように思います。さらに、舞台での中島さんからは「人を笑わせたい」という思いが強く伝わってきていて、それが特に印象的だったのが『平和によるうしろめたさの為の』という作品でした。そうした姿を見て、阪元監督のコメディーの世界観にとても合うのではないかと感じ、また、草川さんとは異なるフィールドで活躍されているので、良いバランスだなと感じ、お二人でバディを組んでいただきたいなと思いました。
――撮影現場でのお二人の雰囲気はいかがでしたか?
最初はお二人とも緊張していたと思います。ただ、撮影の3分の1ほど進んだころから、少しずつ打ち解けていったのかなと感じました。お二人自身も取材でよく、「現場での会話というよりは演技を通して信頼関係を築いていった」とお話をされていましたが、実際にその信頼が深まっていく様子は現場で感じられました。さらに、撮影が終わった後の取材や宣伝の場で見せるお二人の姿が、さまざまな経験を経て、より打ち解けた関係性になっているように見えました。
■“台本を超えた瞬間”が生まれたアドリブ満載のラストバトル
――現場では、お二人が演技について相談している場面は多かったのでしょうか?
はい、とても多かったです。物語の重要なシーンはもちろんですが、例えば出会いのシーンでも、段取りの段階から「どうする?」と二人で話し合っていました。また、第11話や第12話の終盤には印象的で熱い展開があるのですが、そういった場面もお二人で考えて作り上げた部分が多いです。アドリブも多く取り入れられていて、二人で一緒に作り上げたシーンが多い印象ですね。
――アドリブがかなりあったんですね!
そうなんです。第1話から第4話までの同時視聴会をやったんですが、その会に中島さんと草川さんをお呼びして、さらに第3話と第4話では原田琥之佑さんも参加してくださり、台本と見比べながら鑑賞をしました。すると、想像以上に台本と全く違う演技ややり取りがたくさんあり、アドリブの部分がかなり多かったことに驚きました。
台本通りに言っているせりふはある?と思うくらい、ほとんど違っていて。でも、話の流れや台本の面白いポイントはちゃんと残っていて、それがしっかり守られている中で、こんなにアドリブが多かったのかと改めて感じました。アドリブが多い分、現場の楽しさもすごく伝わってきて、見ていて本当に楽しくなりました。
――つまり、現場で話したり演じたりしているうちに、どんどんアイデアが生まれて結果的に変わっていった感じですか?
はい、その通りです。現場で話し合ってうまれたアドリブシーンもあれば、中島さんが段取りの段階で一旦、自分なりに演じてみることもありました。これは、ほかのキャストも自由にアイデアを出しやすい環境を作るための動き方だったんですが、その段取りをもとに、監督が「ここは取り入れよう」「ここは少しやりすぎかも」と調整しながら、草川さんも加わって相談し、最終的に一番いい形にしていくという流れが、ほとんどのシーンで行われていました。
■高良健吾の起用は「キャラに合う“存在感”と“好青年らしさ”」
――後半のキーパーソンとなっているしんのすけを演じる高良さんの起用理由を教えてください
しんのすけというキャラクターは、第1話での登場の仕方だと、敵か味方かもわからないけど、圧倒的な存在感を持っているじゃないですか?
――はい、最初は謎の男としか分からない状態でしたね。
そうなんです。その後に登場するのは第7話からだったため、まず強い存在感が求められていました。また、しんのすけはすごく家族が好きで、両親を深く信頼する愛らしい好青年として描かれているので、そうした“存在感”と“好青年らしさ”を兼ね備えた人物像に合うキャストを探し、ぴったりの高良さんにお願いしました。
■高良健吾の演技を絶賛「背景まで想像をさせてくれるような表現」
――実際に、高良さんがしんのすけを演じる姿はいかがでしたか?
本当に素晴らしい演技で最高でした。しんのすけがこの家族の中で何を思い、どのように育ってきたのかという背景まで想像をさせてくれるような表現で、非常に引き込まれました。また、佐々木一家全体の解像度も高く、決して多くはない尺の中で、それぞれのキャラクターや背景が自然とイメージできる点も印象的でした。そういった意味でも、佐々木一家は非常に魅力的で、全体としても見応えのある仕上がりだったと思います。
――佐々木一家が主人公の物語をみてみたいなと思いました。
そうですね。分かりやすいヴィランを描くうえで大切にしていたのは、「視点によって物語の見え方が変わる」という点でした。大白小蟹さんの『太郎とTARO』という漫画の中で、鬼が島を攻めてくる様子を鬼目線と、また、鬼に攻められる島目線を同軸で描かれていて、本の表裏両側から読めるのですが、それぞれに物語があるので、視点が違えば全く物語の捉え方も違ったりみたいなものがあるなと思い。佐々木一家にはそういった背景も含めて、“本当に彼らだけが悪だったのか?”と考えてもらえるような存在にしたいと考えていました。
■お気に入りは「第11話ラストのバトルシーン」
――撮影中の印象的なエピソードや裏話を教えてください。
とても難しいんですが…(笑)。第11話ラストのバトルシーンの撮影は電波が繋がらないようなすごい場所で、丸一日使って3日間かけて撮影をしました。皆さん、一番疲れているピークのときに、死にかけた月白に日暮が心臓マッサージをして、お互いに名前を叫び合うシーンを撮ったのですが、そのシーンは実はかなりアドリブで。台本では、もっと淡々と進むように書かれていましたが、お二人が現場に入り、バトルシーンということもあり感情が爆発して、完全にアドリブになりました。 あの瞬間は本当に空気が変わりましたし、現場全体が息を呑むような緊張感でした。そういう目線でも見ていただけたら面白いなと思います。
このシーンは私のお気に入りのシーンでもあり、阪元監督が明確に「このシーンは台本を超えた」とおっしゃってくれていて。「関わったすべての人が力を合わせてくれたからこそ生まれたシーン」ともお話されていて、そんな阪元監督の言葉を中島さんと草川さんもうれしそうに聞いていらっしゃいました。
――会見のとき、阪元監督が「一話ごとに伝えたい思いをせりふに込めた」とお話されていましたが、加瀬プロデューサーのお気に入りのせりふはありますか?
印象的なせりふは本当にありすぎてしまうのですが…
――私は第4話での日暮の「あの頃の夢は諦めたけど、俺人生そのものは諦めてないから」というせりふがとても印象に残っています。
うれしいです、ありがとうございます!その言葉は、『俺たちバッドバーバーズ』の企画を立ち上げる中で、一時期キャッチコピーにもなった大切なせりふです。序盤から、日暮目線で語ると“夢は諦めたけれど、人生は諦めていない男たちの物語”なのではないかという話をしていて、そこから生まれた言葉でもあります。
私個人的に印象に残っているのは、第7話で日暮が「誰かを救うってことは、両親を守れなかった昔の自分を救うってことになってるんじゃないですか」と月白に伝えた言葉で。この言葉は、全編を通して物語の軸になっていると感じ、月白がなぜ今戦っているのかを象徴する、とても印象的な言葉だと思いました。また、「絶望するなら、せめて上を向いて絶望しようぜ」という日暮のせりふも強く心に残っています。どちらも作品のテーマやキャラクターの生き方をよく表しているなと思います。
■「“あなたは一人じゃないよ”というメッセージを届けたい」
――現場での阪元監督の姿はいかがでしたか?
現場での阪元監督は、誰よりも楽しそうにしているのが印象的でした。モニターを見ながら常に笑っていて、それはコメディーシーンに限らず、“今いいものが撮れている”という実感がそのまま表情に出る方なんです。その姿に現場のみんなも自然と引き込まれて、雰囲気がどんどん良くなっていく。とても人を惹きつける力のある方だと思います。だからこそ、役者の方々が「この人の笑顔のために頑張ろう」と思えるような空気が生まれていて、阪元監督がいることで素晴らしい現場になっていると感じました。
また、阪元監督は脚本もご自身で手がけているため、現場での変更にもその場で判断ができるのが大きな特徴です。もちろん他の作品でも脚本の調整はありますが、物語の土台を作った本人が現場にいることで、その場でより良い形へと進化させていける。その面白さや強みを、阪元監督は体現している方だと思います。
中島さんと草川さん、高良さん、原田さんをはじめとして、現場の全員が「阪元監督が今、何を考えていて、どんな映像を撮ろうとしているのか」ということを軸にしようと意識をしっかり共有していたように感じました。
――いよいよ最終回を迎えますが、見どころとメッセージをお願いします。
第11話までを経て、物語は新生・月白一家みたいな関係の月白らと佐々木一家の対立へと進んできたと思います。この企画を通して伝えたかったのは、一人でも生きていける時代において、血のつながらない男たちが共に肩を寄せ合って生きることの意味です。日暮と月白の姿を通して、“あなたは一人じゃないよ”というメッセージを届けたいという思いがありましたので、伝わっていればいいなと思います。そして、その答えの一つが物語の結末に込められていると感じていますので、しんのすけとの戦いがどう決着するのか、日暮と月白がこれからどんな人生を歩んでいくのか、ぜひ、最後まで見届けていただけたらうれしいです。
――最後に、今後の展開や続編の可能性はいかがですか?
現状ではまだ未定ですが、ドラマを作るうえで誰もが想像をすることだと思います(笑)。また、阪元監督の作品は本当に魅力的なキャラクターが多いので、まだまだいろんなエピソードが描けるなという可能性を強く感じました。
今回、全12話という形で制作されましたが、初期の段階では他にもやりたかったアイデアやエピソードがたくさんあり、でも、30分×12話という尺は決まっていたので、すべてを盛り込めたわけではなかったんです。だからこそ、作品の評判次第では、続編や新たな展開にもつながっていったらうれしいなという思いがあります。

