Enjoy Every Fishing Tackle & Lure guide ヨッシーのサワラキャスティングタックル
ロッドの使い分けはシンキングミノーなどをアクションさせて誘うときはサワラ専用スクランバ。
引き抵抗の大きなブレードジグにはバンブルズ エクストロSLJ。
リールはとにかく早く巻けることが重要。
シマノならXG、ダイワならXHとギア比が高い4000~5000番がおすすめ。


工夫を凝らしたり、テクニックを駆使したり、経験を重ねたり、知恵を絞ったり……。
釣り人は、どうにかして魚との勝負に勝とうとする。
しかしこの勝負、圧倒的に魚が有利だ。
何しろ魚たちは、広大な海を自由に泳ぎ回れるのだ。
魚が「東京湾、だるいな」と思ったら、太平洋を突っ切ってほぼ同緯度のアメリカ・カリフォルニア州ロングビーチに移住することも可能だ(しないだろうけど)。
しかも魚は、潜水艦以上の縦横無尽深度自在の隠密行動が可能だ。
人間は魚群探知機やソナーなどの科学的装備を駆使しながらも、魚の行動を完全には捕捉できない。
それでも釣り人は頑張る。
入念に準備し、足繁く船宿に通い、自分なりの経験を積み重ね、法則性を見つけ、細糸細竿を味方に、どうにか魚に勝とうとする。
そして、なかなか思いどおりにならないからこそ、ズブズブと底なし沼にはまり込んでいく。
中でも東京湾のサワラゲームは、遊泳力が高くて気まぐれなサワラを相手にするだけに、思いどおりにならない度合いが非常に高く、もどかしい。
しかも、苦難と忍耐の先で得られる報酬--サワラは、めちゃくちゃおいしい。
なかなか思いどおりにならないのに、一発逆転でデカイ報酬が得られる可能性がある。
つまり、中毒性が極めて高いのだ。
9月28日早朝。
東京湾奥深川吉野屋の第七吉野丸には、平日にもかかわらず12名の好き者が乗り込んだ。
E2F取材班の姿も見える。
今日、サワラは釣れるのか、釣れないのか。
サワラに勝つのか、負けるのか--。
高橋郷船長を筆頭に、船上のだれもがギラギラしたギャンブラーの目をしていた。

釣り場は羽田~浦安沖の水深15~20m前後
釣り方はいたってシンプル ブレードジグを投げて巻くだけ
東京湾のサワラゲームは、ブレードジギングが主流だ。
テールにブレード付きシングルフック(以下ブレードフック)を装着したジグをキャストして、巻く。
基本的にはただそれだけのシンプルな釣法である。
横方向に広く探ることもあれば、垂直方向に攻める場合もある。
状況によって攻略法はまちまちだが、基本路線は「投げて巻く」。
釣りとしては極めて簡単な部類に入るが、主導権は完全にサワラにある。
東京湾狭しと爆泳し、豊富なベイトを追い回しては食い散らかしているサワラ(イメージ)。
小さくて丸く、無表情さがちょっと怖いその目には、イワシを中心としたベイトしか映らない(あくまでもイメージ)。
それに対して我われ釣り人ができることは、40g前後の小さなブレードジグを投げて巻くことだけだ。
あまりに無力ではないか。
……と、思っていたら、羽田沖での釣り開始からわずか15分後の7時35分、左舷胴の間のお客さんが竿を曲げた。
タカハシゴー船長(偶然にも、本誌ライターと漢字違いの同姓同名)がタモを構える。
すんなりと寄ってきたが、船に近付くと反転して力強く暴れ出す。
ネットインしたのは、立派なサワラだった。
その直後に、右ミヨシのお客さんにもヒットするが惜しくもバラシ。
さらに15分後、E2F取材班のイチロウこと鹿島一郎さんにもサワリが出た。
いきなり好反応の連発である。
……おっとぉ……?
……今日は釣れちゃうんじゃないの……?
のんびりムードで始まった釣りだったが、一気に船中のボルテージは高まる。
ギラギラした目がさらにギラつく。
これはルアー乗合船の面白さだ。
だれかが釣ると、みんなが盛り上がる。
「釣られちゃった」という悔しさはない。
「自分にもチャンスがある!」と思えるのだ。
第七吉野丸に乗る12名が、実に気持ちいい運命共同体となる瞬間だ。
水深は約20m。
ジグの着底を確認したら、ダーッと早巻きするだけだ。
ロッドアクションは不要。
そしてリールへの情け容赦も無用だ。
ジャッカルプロスタッフのヨッシーこと吉岡進さんは「リールから煙が出るぐらい」と表現するが、そういう勢いでリールを巻く。
遊泳力が高いサワラだけが着いてこられるように。
「この釣りはクジ引きみたいなものだから」
ダダダダーッとリールを巻きながらヨッシーが笑う。
サワラの気まぐれが、釣り人の工夫やテクニックや経験や知恵をはるかに上回るのだ。
ヨッシーほどの手練れが言うのだから、間違いない。
「……んっ!」
声をあげたのはヨッシーだ。
「今、触った! 巻きがフッと軽くなった直後にズンッと重みが乗ったんだ」
リアにブレードフックを装着したバンブルズジグTG SLJを回収すると、リーダーを入念にチェックする。
「ほら、ザックリやられてる」
8号のフロロカーボンリーダーがささくれ立っている。
サワラの鋭い歯は、まさに脅威だ。

開始早々に船中1尾目のサワラをキャッチ

