「認知症」で転倒リスクは8倍!? 転びやすくなる4つの理由や予防策を専門家が解説!

「認知症」で転倒リスクは8倍!? 転びやすくなる4つの理由や予防策を専門家が解説!

親に認知症の症状が現れはじめ、ふらつきもみられるようになり、転倒を心配する家族も多いのではないでしょうか。認知症の方が転倒すると骨折や入院につながりやすいと言われているため、予防策を取り入れることが重要です。

この記事では、認知症の方が転倒しやすい理由や、転倒を防ぐポイントをご紹介します。どのような点に注意すべきか把握することで、転倒リスクの軽減が期待できるでしょう。​

内藤 かいせい

記事監修医師:
内藤 かいせい(理学療法士)

認知症の方が転倒しやすい4つの理由​​

認知症の高齢者は、認知症でない方と比べると転倒リスクが8倍も高いという報告があります(1)。認知症の方が転倒しやすい理由として、主に以下の4点があげられます。

理解力・判断力の低下

焦りや妄想などの症状

バランス能力の低下

薬の服用による副作用

ここでは、それぞれの理由について詳しく解説します。​

1.理解力・判断力の低下​

転倒しやすい理由の1つ目が、理解力・判断力の低下です。認知機能が低下すると、周囲の状況を正確に把握することが難しくなるとされています(2) 。このような症状は、認知症の中核症状(基本的な症状)に分類されます。理解力や判断力が低下すると、小さな段差や障害物に気づかなかったり、距離感がつかめなくなったりすることもあるのです(2)。注意力も低下しやすいので、段差のつまずきや物への接触が起こりやすくなり、転倒のリスクが高まります。​

2.焦りや妄想などの症状

2つ目の理由が、焦りや妄想などの症状です。このような症状は、認知症の行動・心理症状(以下:BPSD)に分類されます。BPSDとは認知症の中核症状をもとに、以下のような要因が影響して出現する症状のことです(3)。

身体的要因

環境的要因

心理的要因

認知症の方は、もの忘れなどを自覚し漠然とした不安や焦燥感を覚えやすい傾向にあり、周囲への注意が疎かになって転倒しやすくなります。BPSDには焦りや妄想だけでなく、さまざまな症状があります。詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。

3.バランス能力の低下

3つ目の理由が、バランス能力の低下です。認知症の進行に伴って、バランス能力が低下するとされています(1)。バランス能力が低下すると、動作を行う際に不安定となり、ふらつきが生じやすくなるのです。具体的には、イスから立ち上がるときにぐらついたり、歩行時にまっすぐ歩けなくなったりすることがあります。このような状態がつづくと、ふとした拍子に転倒しやすくなります。​​​

4.薬の服用による副作用​

4つ目の理由が、薬の服用による副作用です。高齢になると認知症だけでなく、そのほかの病気を患うことも珍しくないため、さまざまな薬を服用している方もいるでしょう。薬のなかには、眠気やふらつきなどの転倒リスクを高める副作用を持つものもあります(2)。そのような副作用が重なることで、転倒しやすい状態になります。

認知症の方が転倒したときの影響​

認知症の方が転倒すると、さまざまな悪影響が生じる可能性があります。とくに注意すべきなのが、転倒による骨折です。認知症の方は、そうでない方と比較して転倒による骨折のリスクが高いとされています。さらに、認知症の方が骨折すると入院期間も長くなる傾向にあります(4)。入院による環境の変化や活動量の低下によって認知症の症状がさらに進行すると、家族の介護負担も大きくなる恐れもあるでしょう。

配信元: Medical DOC

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